相続

【不動産の相続税対策】所有不動産にあなた(又は相続人)がすべきこと

【不動産の相続税対策】所有不動産にあなた(又は相続人)がすべきこと

遺産相続に係る様々な手続きの中でも、最も厄介で、最も腹立たしいもの、それが「税金」、そう、『相続税』の問題です。

そしてさらに、そんな相続税の対象となる財産の中でも、最も取り扱いが難しく、処理も複雑で悩ましい存在、それが「不動産」です。

遺産相続というのは、遺された人たちにとって、大切な人を失った悲しみに浸る間もなく対応を迫られることになる”無慈悲な手続き”です。

あなたがどのような心理状態でどんな境遇に置かれていようとも、決められた期限までに、決められたルールに則り、決められた額の税金を納めなければならないのです。

それは時として、皮肉なことに、その煩雑さや利害関係者間における調整の難しさから、結果的に故人を亡くした悲しみを和らげてくれるという副作用を生み出す事もある程に、場合によっては様々な手続きや処理が必要になってきます。

税務署は待ってはくれません。

精神的にも体力的にも非常に追い込まれた状態で対応を迫られることになるこれらの相続手続き。

それでなくとも冷静な判断や思慮に基づいた決断が難しい状況下において、後々になって後悔してしまう様な対応・処理を行ってしまわないために大切な事とはなんでしょう。

それは一言で言えば、『事前準備』です。

相続時の各種手続きや納税処理に、事前に何の準備もせずに取り掛かり、言われるがままに多額の税金を納めることになってしまう、「もっと早くから色々と考えて動いておけば良かった。」と後悔してしまう、そんな事態に陥ってしまわないためにも、あなたが今すべき事というのは、しっかりとした『対策』と『準備』なのです。

今回は、相続手続きの中でも最も敬遠しがちであるにも関わらず、最も事前の対策が重要になる存在、『不動産の相続税対策』について、その全てを解説していきたいと思います。

『不動産の相続』について、網羅的に把握をし、どのような準備をしておくべきなのか全体像を改めて整理しておきたいという方は、 NO25 

「被相続人」、「相続人」というそれぞれの立場から、相続の際に、なるべく多くのものを遺せるようにしておくためには、一体どのような対策を講じておく必要があるのか。そしてまた、不幸にも予期せぬタイミングで、不慮の相続が起こってしまったという場合であったとしても、事後的に相続税対策として何かできる事はないのか、そういった点について整理をしていきたいと思います。

「相続税」というものは、しっかりと対策をとっておくことで、”確実に(もちろん合法的に)”減らすことができるものであり、対策を”行っていたか”、”行っていなかったか”だけの違いによって、支払う税金に多額の差が生まれてくるものです。

将来的に不動産を相続する可能性があるという方から、既に不動産を相続したけれど何か節税対策として今からでもできることはないのかと焦っている方まで、何かヒントを掴んでいただけると幸いです。

それではさっそく見ていきましょう!

以下、冒頭の第1章~第3章では、不動産に係る相続税対策を検討する上での「注意点」や「考え方」といった事について触れていますが、具体策についてすぐに知りたいという方は『第4章:不動産の相続に向けてできる具体的な節税対策』からご覧ください。

【注意】不動産の節税対策をめぐる勘違い

さて、不動産の相続税対策について具体的に検討する前に、1つ整理しておかなければならない点があります。それは、

「既存の不動産のための節税対策」と「不動産を”活用”した節税対策」は別物である

ということです。

時々混同してしまう人がいますので、ここで改めて頭の中を整理しておきましょう。(「もう十分に理解できている。」という方は、次章へお進みください。)

不動産に関する相続税対策について知るために、本やネット等で調べる際、

  1. 被相続人が既に所有する不動産に対してかかって来る事になるであろう相続税について、何かしらの対策を練ろうとしているのか
  2. 被相続人名義の様々な資産を含む相続財産全体について、包括的に節税対策を施したいという目的があった上で、不動産を”活用した”対策方法を検討しようとしているのか

という2つの違いについて、明確に分けて捉えておかなければならないのです。

これらは「不動産に”関する”節税対策」という意味においては、一見同じ様な内容について話をしている様に感じられるかもしれませんが、その実はまったくの別物です。

一方が、「既存の不動産に対してできること」であるのに対し、もう一方は「相続財産全体にかかる相続税を減らすために、新たに不動産を取得することで得られる効果」についての話であり、検討すべき内容も採り得る手段も全く異なってくるのです。

したがって、まずはじめにこの2つの意味の違いを知り、自分はどちらの話を知っておく必要があるのかという事について理解をしておかなければなりません。

それを踏まえた上で、ここから先、当記事においては基本的に「”既にある”不動産の相続税に対する節税対策」にフォーカスしてお話をしていくという事を先に申し上げておきたいと思います。

そのため、他方の「新たに不動産を購入する事による、不動産を”活用した”節税対策」について知りたいと思われている方については、包括的な節税対策や相続税の計算といったお話についてまとめた、 NO71 をまずはご覧いただければと思います。

不動産の相続税対策を考える上でのポイント

それではここからは、いよいよ当記事の本題である『(既に所有している)不動産の相続税対策』についてご紹介していくのですが、まずはじめに、相続税対策について検討する上で重要なポイントについてお話していきたいと思います。

相続税の対象となる基準

あなたが、相続税について考えていく上で何よりも先に確認する必要がある事はと言えば、それはもちろん「あなた(もしくは相続人)が相続税の対象になるのかどうか。」という事です。

当記事の様なテーマに関心を持たれている時点で、既に相続税の対象となる事がある程度想定されているという方がほとんどかとは思いますが、当然のことながら、もしも被相続人の財産や法定相続人の状況等がそもそも相続税の対象にならないという事であれば、これからご紹介していく様々な相続税対策について知っている必要はありませんし、相続税に関しては何も心配する必要はないという事になってきます。

この「相続税の対象になるかどうかの基準」という点について、ここで詳細に解説をしてしまうと、今回の記事のテーマからは大きく逸れてしまう事になりますので、(相続税がかかるのか、かからないのか)自分の状況について一度詳しく試算等をしてみたいという方については、 NO71 も併せてご覧いただければと思います。

相続税対策についての考え方

次に、「相続税対策についての考え方」という事についてお話したいと思います。

当サイトでは、 NO46  NO51 といった記事において、不動産の”売却時”における税務の取り扱い等について解説しています。

こうした記事の中でもお話しているように、「不動産に関連した『税務』の問題」というのは、「売買」や「貸借」といった”取引が発生”した際にはもちろんのこと、”所有しているだけ”で支払う義務が生じてくる「固定資産税」といったものに至るまで、実に様々な場面で登場してきます。

つまり、不動産というのは、取引が発生する度、そして維持するだけでもコストが発生するものであるという事です。

不動産所有者当人からすれば、一見当たり前とも思えるこうした事でさえ、これから不動産の所有者となる可能性のある相続人の側からすると、「知らなかった。」という場合も少なくありません。

したがって、不動産の相続税について検討するという際には、相続したその先、つまり”相続後”についても、しっかりと見据えて検討していく必要があるのです。

今回の記事のメインテーマである「(既存の所有不動産の)相続税対策」について検討するということは、基本的には、『対象不動産を遺す(引き継ぐ)』、つまり『継続保有する』という事を前提としているという事になりますし、「継続保有する」という事は、必然的に、今後も所有に伴う様々な「コスト=維持費」が必要になってくるということを意味することになるのです。

 NO374 

ここでお伝えしておきたい考え方というのは、不動産を含む相続税について検討する際には、

「(相続の対象となる)うちの家は、今もこの先も住んでいかなければならないものだから、絶対に手放す(売却する)わけにはいかない。」と安易に決めつけてしまってはいけない

という事です。

言い換えれば、たとえ今相続税の対象となる不動産があり、そこに居住しているという現実があったとしても、経済合理性や、その後の生活等を考えれば、新たにその不動産をうまく活用する方法を検討したり、場合によっては売却するといった事も含めて、広く検討していくことが必要であるという事です。

具体的な例で考えてみましょう。

例えば、今あなた(もしくは被相続人名義)の不動産が非常に魅力的な価格で売却できる様な環境がたまたま揃っていたと仮定しましょう。

その時あなたには、元々決めていたという理由だけで「売却はしない。」という判断をすることができる一方で、様々な選択肢をテーブルに載せようという姿勢を持ち併せていさえすれば、そのタイミングで速やかに高値での売却を実現し、冷静な判断と運を味方につけられたことで得られた大きな売却資金によって、新たな生活環境に合った物件へと引っ越すというような選択肢をとる事も可能になってくるわけです。

つまり、「採り得る選択肢について、可能な限り幅広く検討する。」という姿勢を持っていた方が、最終的な満足度をより高いものとすることができるわけです。

ただし、「不動産は賃貸に回した方が絶対にお得ですよ。」とか、「不動産は売却することをまず考えなさい。」という事が言いたいわけではありません。

あくまでも「物事を先入観を持って捉えてしまうことなく、幅広く様々な選択肢を検討してみてくださいね。」という事をお伝えしておきたかったのです。

また、中には、不動産を含む節税対策について色々と検討し頭を悩ませてきたのだけれども、やはりどうしても不動産を売却しなければ相続税を支払うことができなさそうだという様な状況に陥ることもあろうかと思います。

そんな時はどうすべきか。

早まって売却を急いでしまってはいけません。仮に売却するという結論に至ったとしても、改めて検討すべき事というのがあるのです。

「急いては事を仕損じる」と言いますが、相続税の納付期限というタイムリミットがあるとは言え、一度一呼吸おいて、最終的に享受できる金銭的メリットを最大限にし、円滑な相続が実現できる方法を見つけ出すという意識のもと、絶対に後悔しない売却を目指していくようにしましょう。

 NO21 

相続税対策の基本原則

不動産の相続税対策について考える上でのポイントとして最後にご紹介しておきたいのが、これから具体的に相続税対策を実施していくにあたり、心得ておくべき「基本原則」についてです。

難しく考える必要はありません。不動産の相続税について考えていく上での「基本原則」は次の3つです。

  • ”早く”、”正しく”行う
  • 後戻りはできない
  • 対策を”する”か”しない”かだけで税額が大きく異なってくる

これらのポイントを常に意識しておくようにしましょう。

「節税対策について、今まで散々勉強してきた。」という方や、「既に様々な対策を講じて来た。」という方にとっては、非常に基本的なことで「釈迦に説法」と、実感としてその重要性を感じておられる事ばかりではないかとは思いますが、これから学んでいこうとされている方については、是非これらの基本原則をまずは押さえておいていただきたいと思います。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

”早く”、”正しく”行う

まず「早く」という点に関してですが、これはもはや不動産に限ったことではなく「相続税対策”全般”」について検討していく上で意識しておくべき重要なポイントとも言えるものになりますが、税制上認められている贈与や資産の移転等の手法というものは、一定の時間をかけて行っていく事を前提として用意されているものや、実際に対応をとっていくためにはある程度の期間を要するといったものも多くあり、大きな資産圧縮(=節税)効果が見込まれる節税対策ほど、なるべく早い段階でアクションを起こしておく必要が出てきます。

この「早さ」による違いについて知るために、具体的な節税対策を講じるタイミングの違いによる効果の差をイメージしてみましょう。

もし仮に被相続人の生前、早い段階において対策をスタートできていたとすれば、「暦年贈与」や「相続時精算課税制度」等(詳しくは後述します)に代表される様々な節税手法を駆使し、少しずつ資産を次の世代へと渡していく事が可能となり、結果的に大きな節税効果を生む事ができるようになります。

その一方で、生前の早い段階で対策を講じず、死を目の前にして考え始めたとするとどうでしょう。

その場合、当然のことながら、残された時間は限りあるものとなりますので、長い期間をかけて資産を移転していくといった、生前贈与等による圧縮の効果は限定的となってしまう上に、大きな病気やケガ等がある場合には、被相続人の意思を明確に汲むこともできず、その上、その判断不能という事態のために、相続人間での争いが起こってしまい、いわゆる”争族”となってしまうといった最悪の事態も想定されることになってきます。

このように相続税対策というのは、被相続人が元気なうちはなかなか頭が回らないというのが現実問題としてある一方で、やはりなるべく早く、少しでも多くの選択肢が残っている状況下において検討を始めておくという事が望ましいと言えるわけです。

ただし、一部の超富裕層の方々の様に、莫大な財産をもとにした配当や家賃収入等によって資産の目減りが発生しないような場合を除き、一般には、被相続人の(亡くなるまでの)生活に係る支出による資産の目減り等も考えておかなければなりません。

つまり、被相続人が暮らしていくための支出「生活費」にかかるもの、いわば”自然減”とも言える資産の目減りというのは、亡くなるまでの間当然起こってくる事になりますので、その点についても想定しておくという事も非常に大切です。

さらにもう一つ、この「早く」という意味の中には、読んで字のごとく「期限があるため急いでとりかからなければならない。」という理由も含まれています。

「相続税」というのは、何も「しっかりと税額の計算と利害関係者間における調整を行ってもらって、それが済み次第支払ってもらえれば良いですからね。」と悠長に待っていてくれるような代物ではなく、「10か月以内!」に「現金一括!」という具合に、明確に期限やその納付方法といったルールが決められています

そのため、被相続人が亡くなる直前、またはその後になって「何か採り得る手だてはないものか。」と相続税対策を考え始められるほどの時間的余裕はないのです。

その上、そもそも被相続人が亡くなられてしまった後というのは、各種資産は基本的には”凍結”されてしまいます

つまり、遺産分割協議をはじめとした相続に関する手続きが完了したことを証明できない限り、名義変更などの手続きを進めることができなくなってしまうのです。

そして何よりも厄介なのが、「不動産」というものは今日明日にでもすぐに現金化できるような代物ではないという事です。

もちろん現金化するという事も不可能ではありませんが、売手都合(あなた側の「なるべく早く現金化したい。」という都合)によって売却を急ぐという形になってしまった場合には、当然買手側に足許を見られてしまうリスクというものも考えておく必要があるでしょう。

「この人は急な相続で金策に困った挙句に、できるだけ早くキャッシュに変えたいという想いから売却を急いでいる様だから、少々安めの買値を提示したとしても、背に腹は代えられず、買って欲しいと飛びついてくるだろう。」と、悪い業者に買い叩かれてしまうといった事態も起こりかねないわけです。

以上の様に、相続がすぐ目の前に迫ってきている段階や、時間的余裕のない追い詰められた状態の中での対応になってしまっては、利用する制度の選択肢の面からも、手続き上の不便さといった面からも、節税に向けた十分な対策を施すという事が難しいという現実が解っていただけるのではないかと思います。

人の死は、誰にも予測はできません。

だからと言って、「人の死期を予測するなんて、不謹慎な話。」と感じられるかもしれませんが、社会のシステムというのは、そうして杓子定規に淡々と進んでいくというのが現実なのです。

冒頭でも申し上げたように、遺産相続やそれに絡む相続税の話というのは、悲しみに暮れる間もなく無慈悲に対応が必要となる納税者の”義務”として発生するものであり、誰も避けて通ることができないものです。

当記事の様なテーマに関心を持たれているあなたは、そうした危機意識やリスク管理に非常に感度が高く、熱心な勉強家であることに違いはないかとは思いますが、改めて、節税対策や死後の手続きをスムーズに進めていくためには、「早く」手を打つという事が非常に大切な事なんだという点を肝に銘じておいていただきたいと思います。

ちょっとブレイク

「相続税」についてよく世間一般には、「三代の相続で財産がなくなる」と言われる様に、国税、つまり税を徴収しようとする国としては、大きな財産をその末裔に至るまで未来永劫遺させようと考えてはいません。 むしろ、相続を受ける次の世代の生活に余剰となる様な資産については、「そんなには必要ないでしょ。だから国が没収させてもらいます。」といった具合に、否応なしに持って行かれてしまうというのが現実です。厳密に言えば、本当に三代で資産が全て消えてなくなってしまうという様な事はありませんが、考え方としては、余剰資産は全て税金として吸い上げさせてもらいます、と言っているに等しいわけです。

 NO377 

ただし、あまりにもあからさまに、いわゆる”富裕層”と呼ばれるような大きな資産を保有する人たちを目の敵にして、そこからごっそりと資産を取り上げてしまう様な税制にしてしまっては、租税の根本精神である『租税公平主義』(租税の「公平性」および「中立性」を求める憲法第14条第1項の考え方)に反する事にもなり対象者たちからの反発は免れませんし、これから事業を興すなどして資産を築いていこうという意思のある人の意欲を奪ってしまう事にもなりかねません。 したがって、その”逃げ道”、つまり国側の譲歩の形として、なるべく早い段階から、次世代家族の資産形成や教育資金、(国の発展に資する様な形での)新たな生産活動に繋がる譲渡等は節税対策として認めます、という制度が設けられているわけです。

そして、そんな「早く」というポイントと併せて意識しておくべきポイントが、「正しく」という事です。

これは文字通り「誤った方法」や「不正な手段」を用いて相続税対策をしたつもりになっていても何も意味が無いという事を意味しています。

法的にグレーな部分を突く形で違法スレスレの節税策に走ったり、「バレないだろう。」と故意に隠蔽や虚偽記載をすることで”不正に”納税額を減らそうとするような行為が”論外”である事は言うまでもありませんが、この「正しく」というポイントの真意はと言うと、「税制は変わる」という現実を常に意識しておく事が大切であるという事です。

次代の流れの中で、国の財政状況や人口動態などが大きく変化する中において、その時々に必要とされる税収を確保すべく、税制やその前提となる仕組みも変化していきます。そして当然のことながら、相続税もその範疇に含まれます。

さらには、相続対策について”早く”動き出すという事と”トレードオフ”の関係にある問題として、節税対策の”長生きリスク”とも言うべき事態にも目を向けておく必要があるのです。

つまり、なるべく早く対策を講じることを目指し、被相続人の若いうちから、その時の税制に基づいて各種の対策を講じていたとしても、実際に当人が亡くなられた時にその税制が変わってしまっていては、元も子もなくなってしまうということです。

したがって、相続税対策というものは、一時的に色々と検討し対策を講じてしまえばそれで”一件落着”とはいかないのです。

対策を講じるのではなく、対策を”検討し続け”、対策を”講じ続ける”必要があるという事を改めて肝に銘じておかなければなりません。

これが”正しく”というポイントでお伝えしておきたかった真意です。

確実に節税効果を得られるための備えというものは、「『正しい節税対策』の定義は、刻々と変化する。」という事をしっかりと頭の片隅に留め続けておくことができて初めて実現できるのです。

「できるだけ早く」、そして「常に正しく」対策を講じることで、確実に税額を減らせるようにしていきましょう。

後戻りはできない

これもまた”読んで字のごとく”ではあるのですが、税金の処理というのは”基本的”には「後戻り」はできません。

「”基本的”には」と言っているのは、実際に本気で後戻りをしようとすれば、一定期間内(被相続人の死亡から5年10か月以内)に再度相続財産を精査し還付の請求を行ったり、税務当局に対して不服申し立ての手続きをとる事によって再調査を申請したり、最終的には国を提訴したり、またあらかじめ一定の条件等が揃っているものに関しては必要な手続きを経ることで遡ることが可能になるからです。

ただしそういった各種の制度というのは、「救済」の意味で用意されているものであり、実際に納税者側の申請内容が認められるケースというのは、ザックリ見ても1割程度しかないというのが現実です。

つまり、一般的な相続税に関する”見解の相違”等を争点とした「不服申し立て」というものは、現実的にはそのほとんどが申請を申し立てた側の意見は通らない、と考えておいた方が良いものなのです。

当然のことながら、税務当局としてもそのような不服申し立てという事態を招かぬよう、しっかりと財産の内容を見極めた上で限界まで税金を徴収できるラインという所を攻めてきます。そのため、もし万が一不服申し立てがなされるような事態になってしまったとしても、自分たち(税務当局側)が勝てる形で税額を算出しているということは言うまでもありません。

しかしその一方で、税の計算というものは、曖昧な部分・解釈によってグレーになる部分というのが出てきてしまうというのも現実問題としてあります。

大企業を中心として、決算に基づいた適正な処理をしているにもかかわらず、税務当局に申告漏れを指摘された場合などには、不服申し立てを行う事で裁判へと決着を持ち込み、多額の還付を勝ち取るといった事例も実際に存在します。

その点で言うと、相続財産に関しても、税額の算定根拠となるその様々な資産の査定という部分において、その価値が不明瞭である美術品やその他現物資産等に関する見方というものは、意見が割れるという事も十分に考えらえるわけです。

つまりここで言いたいのは、「相続税対策というものは、”基本的には”後戻りはできないと考えておくべきものですが、その一方で、税務当局の見方が明らかにおかしいと感じた場合については、相応の手続きを踏むことでその意見を主張することは可能である。」という事です。

確かに、一度税務申告を済ませたものについて、税務当局と闘おうとすると、非常に大きな労力を要する上に、場合によってはそのためにまた余計な費用等が必要となってしまうという事も事実です。

大企業の場合であれば、社内及び提携先等に超優秀な税理士および弁護士集団を編成し、徹底的に闘うことでその結果を良い方向へと導いていくという事が可能になるかもしれませんが、既述の通り、一般の人たちが通常1割程しか認められることのない還付を求めて、そこまでの力を注げるかというと現実には難しい部分も多いかと思います。

したがって、やはりここでも最も大切な事は前述した通り、『事前にしっかりと、”早く”、そして”正確に”対策を講じておく』という事になるわけです。

後々になって「ああしておけばよかった。」「これをやっておけばよかった。」と色々と後悔が先立ってしまう様な事が無い様、早め早めに検討、行動をしていくように心掛けておくようにしましょう。

節税”する”or”しない”の差

最後に3つ目のポイントとしてお伝えしておきたいのが、節税対策を適切に施せていたかどうか、つまり、あなたが節税対策を”する”か”しないか”という事”だけ”の違いによって、あなたが支払わなければならない相続税の額に非常に大きな差が生まれてくるという事です。

これは一見、上記の2つのポイントよりもさらに「当たり前のこと」を言っている様に感じられるかもしれませんが、実は節税対策を成功させる上において、最も重要で、最も根源的とも言える大切な考え方になります。

一般に、相続税対策について検討する際には、まず自分たちが相続税の対象となるのかどうかについて見極めようとします。それから、相続税の対象になりそうだと解った場合には、次にその税額を減らす方法について検討し始めます。

自分の身の回りの相続関係の話について相談できそうな人脈などを当てにしながらも、自分たちの中ででき得る限りの対策を練っていこうとするわけです。

この「自分ができる範囲で対策を考えておきさえすれば大丈夫だろう。」という考え方こそが、大きな間違いなのです。

多くの人は、「それしか方法がなくて他に選択肢がないんだから、仕方ないじゃない。」という想いから、「本当に万全を期すために、他に何かできる事は無いものか。」と、さらにこだわりを持って深掘りをしていく様な事はしないというのが実態です。

そうした人たちが行う一連の節税対策というのは、最後の”実行”の部分、つまり肝心の『実際の節税対策』という部分において、詰めの甘さが残ってしまっているというのが現実なのです。

しかし、この記事を読んでくださっているあなたには、絶対にそうなって欲しくはありません。

節税対策をした気になってしまって、最後の詰めの甘さを残してしまわないために、具体的に気を付けておかなければならないポイントをお伝えしておきたいと思います。

覚えておかなければならないポイントは、次の2点です。

  • 日本全国に80,000人弱いるとされる税理士が、みな相続税に深く精通していると思い込んではいけない
  • 相続税対策の専門家というのは、なにも税理士だけではない

この2点をしっかりと頭に入れておくことで、あなたは相続税対策をしっかりと”する”ことができる人、つまり、詰めの甘さを残してしまうことなく、税額を可能な限り少なくする事に成功する人となれるでしょう。

まず1つ目の、税理士が皆「相続税」に精通しているわけではないという点についてですが、税理士というのは、税務処理の方法や諸般の法制度、必要な手続きといった必ず押さえておくべき税務の知識をベースに税理士資格を取得し、その上で、実際に税理士として様々な業務に従事する中で、各人が「得意分野」を持ち、それを磨いていくことになります。

一般的な税理士業務としては、中小企業や個人事業主を中心とした彼らの顧客の税務顧問として、決算処理や法人・個人の確定申告をルーティンでこなしていくことになるわけですが、今回のメインテーマである”相続税”という事に関しては、実は皆が皆それほど頻繁に対応した経験を持ち併せているというわけではありません。

では、相続税に精通した税理士とは一体どういう人なのかと言うと、

  1. その税理士の活動する地域特性や顧客属性によって、結果的に、相続に係る税務処理を多く請け持った経験のある税理士
  2. 個人的に相続税について興味関心を持ち、日々その動向等について研究している税理士
  3. 相続を専門的に取り扱っている、相続税に特化した税理士

このいずれかです。

したがって、まずはこのような「『相続税』に精通した(または、専門とする)税理士を見つけ出す努力をする」という事が何より大切になってきます。

相続税を専門とする税理士

そして2つ目が、「税理士だけが相続税対策の専門家ではない」という事です。

もちろん、あくまで税務の専門家が税理士であり、税務申告の相談を受けたり、税務処理の実務を代行できたりするのは税理士資格を持った税理士のみであるという事は間違いのない事です。(税理士法第2条)

では「税理士だけが専門家ではない」とはどういう事かと言うと、「相続税の対象となる資産の性質によって、それぞれの専門家がいますよね?」という事です。

現に今あなたは、”不動産”という特定の資産に関する相続税について情報収集をしているわけですし、中には相続財産の多くが絵画や工芸品・美術品等の芸術作品であったり、車や宝石類といった現物資産であることも考えられます。

つまり、不動産であれば不動産の専門家、美術品や骨とう品であれば鑑定士、車であれば販売業者や査定員といった、それぞれの専門家が存在しているという事も忘れてはいけないという事です。

では実際に何をすべきかと言うと、信頼できる税理士に相談をする一方で、そうした各分野における専門家にも可能な限り節税に関する知恵を拝借できないか話を聞いてみることです。

言わずもがなですが、各分野の専門家というのは、日々その分野の事について考え、知恵を絞り、様々な事象に対応するという事を生業として繰り返しているわけです。そのため、日常業務の中、もしくは同業他社との情報交換の場等において、”相続”や”相続税”絡みの、その分野特有の話などを知っている可能性が高いと考えられます。

そんな業界特有の知見・知恵があるのならば、ぜひ活用させてもらいたいですよね。

ということで、「相続税に強い税理士にこだわる」ということ、そして、「各資産ごとの専門家にアプローチできる術はないものか検討してみる」ということを是非意識しておいていただきたいと思います。

1円でも納税額を抑えるために、あとひと踏ん張り、行動を起こしてみるという事を大切にしましょう。その小さなひと踏ん張りの差が、詰めの甘さをつぶし、後々の大きな差になって自分に還って来てくれるのです。

いざ納税しなければならない時になって、「こんなにも相続税を持って行かれるのなら、早めにしっかりと対策しておけば良かった!」と後悔してしまう人は本当にたくさんいます。

あなたがそうなってしまわないためにも、せっかくこの記事を読んでいただいている以上、できる限りの手は尽くしておいて欲しいのです。

以上の様に、節税対策をするのかしないのかによって大きな税額の差が生まれると同時に、どのような考え方のもとで対策を施していくのか、どこまでこだわりを持って対策に取り組むのか、という事によっても、その節税額には大きな差が生まれてくる可能性がありますので、ここでお話した内容を念頭に置きながら節税対策に知恵を絞っていっていただけたらと思います。

不動産の相続税対策の『大前提』

さて、不動産の相続税対策について考える際に大切なポイントについてはしっかりと押さえていただけたでしょうか。

そういったポイントを踏まえた上で、実際の具体的施策について検討していくという事になるわけですが、節税対策を講じるための大前提として行っておかなければならない事が1つ残っていますよね。

そうです。

その不動産の価値を正確に把握しておく

という事です。

 NO65 

相続税対策について”考え始める”というタイミングでは、まずは「自分が相続税の対象となるのかどうか」という事を把握する必要がありました。

それと同じように、いざ「自分が相続税の対象となりそうだ。」ということが判り、その具体的手法について検討する必要に迫られた時に、まず取り掛からなければならない作業、つまり相続税対策を考える上での「大前提」というのがこの「対象の不動産の価値がどのぐらいなのかということを知っておく」という事になるわけです。

これは、想定される相続のタイミングが近かろうが、まだまだ先であろうが、全く関係はありません。

改めて確認ですが、前章でも繰り返し注意喚起してきたように、相続税対策の基本というのは「早く」「正しく」というのが鉄則でした。ですので、「(相続が)まだまだ先の事で、今頃その価値算定を行っても、その時にはまた価値が違ってきてしまう事になるから、意味ないでしょ。」と考えてしまう事は、大きな間違いなのです。

「相続問題いつやるの?」そう聞かれれば、いつも答えは明確で、

「今でしょ。」

そう断言できます。今動いて無駄になることは一つもありません。動き出しましょう。

もちろん、不動産の価値が将来にわたってどのように変化し、実際に相続が起きた時点ではどの程度価値の変動が起こっているのかなどということは、誰にも分かりません。

しかし、そんな事を考えるよりも、まずは今からでもできる節税対策を少しずつでも着実に実施していくという事、つまりは「即行動に移す」という事が、節税対策においては何より大切なことになってくる、そしてそれがイコール着実に税額を減らすという結果へと繋がっていく事になるのです。

「相続税対策を考える。」という事は、言い換えれば「どうすれば税額を減らすことができるのかを知る。」という事であるというのは、既にお話した通りです。

そしてそれを知るためには、税制上の仕組みや特例に関する専門的な知識などが必要となってくるわけですが、そういった部分は素人には難解過ぎる部分も多いため、最終的には信頼できる税理士等の専門家に知恵を拝借することになります。

ただし、税理士さんというのは、あくまで税務の専門家であって、資産価値を正確に査定する能力に長けているわけではありません。

税額を算出するために、あなたのケースに各種条件等をあてはめ、算定根拠となる計算式等を用いて試算していく際、その”土台”となる対象資産(ここでは不動産)の価値が正確に把握できていなければ、最も知りたい結論である、おおよその節税額や最終的な手取り額の予想値などを知る事はできません。

対象となる不動産の価値がある程度正確に把握できていなければ、そもそも「”相続税対策を練る”などという事は不可能」なのです。

もしもあなたがここ数年の間に、しかるべき専門業者等によって正確な査定を実施してもらい、今現在と、相続が発生する可能性のある時期に予想されるおおよその(不動産の)価値について把握ができているという方なのであれば、安心して相続税対策の話へと進んでいただいて構いません。

ただしそれ以外の方については、まずこの「正確な価値の把握」という作業を行わなければ、何も始まりません。

「なるほど、じゃあまずは査定を検討しないといけないな。」

と考えたあなた。思い出してみてください。「相続対策いつやるの?」

そう。「今。」なんです。

今日明日、いえ、今すぐにでも「査定業者に連絡して、一度正確な査定をお願いする。」という事をはっきりと予定に入れてしまいましょう。

「いつかやる。」は、たいてい「いつまで経ってもやらない。」に変わっていきます。

いつ発生するかもわからない相続に関する話などは特に、少し気を抜いてしまえば本当の瀬戸際に立たされるまで再開することはありません。

もう一度言います。

こと「相続税対策」においては、そのタイミングが早いか遅いかで、あなたが将来支払わされることになる税額に大きな大きな違いが生まれてきます。したがって、対策を始めるタイミングが何よりも大切なのです。

細かな相続税対策について検討するにも、この「正確な査定額」というものがないと始まりませんので、まずは「査定」という具体的なアクションを起こしていく事に最優先で取り組むようにしてください。

→ 「査定」について、「すぐに相談できるようなアテがない。」「オススメの業者を見てみたい。」という方については、 NO65 もよろしければ併せて参考にしてみていただければと思います。

不動産の相続に向けてできる具体的な節税対策

さて、ここまで節税対策を検討していくにあたって大切となる心構えや考え方、注意すべきポイントなどについてお話をしてきましたが、少しボリュームが多くなってしまいましたので、一旦その内容についてまとめておく事にしましょう。

相続税対策を検討するにあたっては、以下の事を知っておく必要があります。

  1. 「”既存不動産のため”の相続税対策」と、「不動産を”活用した”相続税対策」は別物であるという事を理解する
  2. まずは「(被相続人もしくは相続人として)自分が本当に相続税の対象になってしまうのかどうか」を確認する
  3. 相続税対策を実施する上で大切なポイントは「早く」「正しく」の大きく2つ
  4. しっかりと対策がなされていたかどうかの差だけで結果的に税額に多額の差が生じる
  5. まずは『その不動産の実際の価値』を正確に知っておかなければ何も始まらない

そして、さらに具体的には、

  • 自分が相続税の対象となるのかどうかについて知りたいという方は、 NO71 
  • 対象となる不動産の正確な価値について知りたいという方は、 NO65 

も併せて参考にしていただけたらと思います。

という事で、ここまでは具体的な節税対策についてお話する前段階として、「考え方」や「前提条件」といった点について散々お話をしてきたわけですが、敢えてくどくどとお話をしてきた理由というのは、当然それだけ大切な事だからであり、この考え方や前提条件といった部分こそが、節税対策の成否を分ける部分となるからです。

ここまで全ての内容に目を通していただいた方、お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。あなたのために頑張ってまとめた甲斐がありました。休憩をはさみつつ、また先へと進んでいただけると幸いです。

さて、ここからはいよいよ具体的なお話に入っていきたいと思います。

ここでは先に”結論”からお伝えしてしまう事にしましょう。

「『節税対策』とは、一言で言えば何をする事を指しているのか。」

それは、

『相続財産の価値(の評価額)を少しでも小さくする』

という事です。

つまり、「節税対策について検討する」ということは、「相続財産をいかにして減らすことができるか(=評価額を下げることができるか)」という事について検討をする、と言っているのと同じ意味になるわけです。

これは、「基本」に立ち返ってみればすぐに気がつくことです。

今あなたは、将来支払わなければならなくなるであろう「相続”税”」の額を少しでも減らすためにはどうすれば良いのかという事について検討しているわけですが、この「相続税」というのは、

相続税の対象となる財産(の評価額) × 税率 = 相続税額

という計算式で算出されます。(※話を解り易くするために、単純化して表しています。)

「何を今さら当たり前のことを。」と思われたかもしれませんが、この事から言えるのは、税率を掛ける前の段階である、そもそもの財産部分について、その価値を小さくできればできるほど、「相続税額」、つまりはあなたが支払わなければならない税金の額を減らすことができるということです。

『税率』は、あなたの努力では変える事ができません。でも、『財産の評価額』は、あなたの努力次第で、様々な制度・テクニックを駆使すれば変えることが可能なのです。

この「基本」を改めて頭の片隅に置きながら、様々な節税手法等について見ていくと、今後迷いなく各対策の必要性を的確に判断していく事が可能になります。

「節税対策を施す=相続財産を小さくする」というイメージを持った上で各種の施策を見ていくことで、「なるほど、この方法では財産をこれだけ小さくする(=評価額を下げる)ことが可能になるわけか。」という風に捉えることができるようになるわけです。

節税手法についての話がどんどんと深みにはまっていくと、税制のグレーゾーンにむやみに深入りしてしまったり、相続人である親族間において”骨肉の争い”に発展してしまい、「相続後も引き続き平穏な日常生活を送る」という最も大切な部分を見落として”暴走”してしまいかねません。

したがって、難しい話を色々と考え過ぎて、「そもそも何がしたかったんだっけ?」と、その目的を見失ってしまう事態に陥ってしまわないためにも、この”原点”を覚えておかれると良いのではないかと思います。

また、『不動産の相続税』について知っておかなければならない人たちというのは、大きく2つの属性に分けられるかと思います。

  • 自分名義の不動産があり、自分がいなくなった後の(死後の)事が心配だという人
  • 親や親族など被相続人が不動産を所有しており、それを相続した、もしくは将来相続する可能性が高いと思われる人

したがって、これからご紹介していく節税対策の方法については、「自分がどちらの属性に該当するのか。」ということも考えながら検討していくと、より取捨選択が明確にできる様になるかと思います。

それでは具体的に見ていくことにしましょう。

節税のための具体策

いきなりですが、不動産にかかる「相続税」を圧縮する効果が見込める「相続税対策」にはどのようなものがあるのか、まずはザっと一覧で挙げてみたいと思います。

  • 相続時精算課税制度
  • おしどり贈与の特例
  • 賃貸物件化:時価と相続税評価額の差
  • 小規模宅地等の特例(含転居)
  • 地積規模の大きな宅地の評価の適用

いかがでしょうか。既に検討したことがあるというものも見つかったかもしれません。

ただし、これらの節税対策は、全ての手法が全ての方に使えるものというわけではありません。

各手法にも対象となる場合の「基準」や「条件」が存在していますので、その辺りについて詳しく確認する意味も込めて、各制度の詳細を見ていくことにしましょう。

相続時精算課税制度

これは、いわゆる「生前贈与」の一種で、いくつかの条件をクリアできれば、被相続人の生前に行われる贈与にかかる贈与税が2,500万円まで無税となるという制度です。

ただし、この制度には様々な基準や制約等が付随していますので、それらをしっかりと理解した上での活用というのが前提となってきます。

大きなポイントとしては、

  • 2,500万円を超えた贈与分には、一律20%の贈与税が課される
  • この制度を利用した上で、2,500万円を超えて贈与を受け、その超過分に対して贈与税を支払った場合には、その納税部分が相続時に相続税額から控除される
  • 相続発生時には、この制度を利用して贈与した財産を相続財産に加えて相続税を計算される
  • 一度この制度を選択すると、「暦年贈与」には戻せない
  • 通常「暦年贈与」に当たる110万円以下の贈与でも、この相続時精算課税制度を選択するとその後は都度申告が必要になる
  • 「小規模宅地等の特例」を利用できなくなる

このような点が挙げられるのですが、この制度について知る際に最も留意しておかなければならないのが、

  • この制度そのもののに節税効果はない
  • 不動産の様に、今後大きな値上がりが起こる可能性のあるものに有効である

という事です。

まずこの相続時精算課税制度というものは、この制度そのものによる相続税に対する直接的な節税効果はないという事を知っておかなければなりません。

冒頭のポイントでも触れた様に、この制度を利用したところで、将来的に相続が発生した場合にはその贈与財産を”加えて”相続税が計算されることになるからです。

では、この制度の何が節税効果として有効なのかというと、

「時価が値上がりし、将来的に大きな金額の財産として相続税を計算される恐れのある財産に関して、時価の安いうちにその金額を確定し、安い贈与税で納税を済ませることができるようになる」

という部分です。

美術品や不動産などの値動きがあるもので、将来的に値上がりリスクがあるような場合には、時価で計算した贈与税と、将来の相続時点での相続税の差が節税になるということなのです。

ただし、この制度を利用する際には、予想に反して資産価値が値下がりしてしまうというリスクや、上記で指摘したように様々なデメリットも内包していますので、各方面への影響等を複合的に十分精査した上で、確実に税務メリットを享受できそうだと判断できて初めて採用を決断するという風に考えておくべきかと思います。

→ 「相続時精算課税制度」について詳しくは、 NO403 

小規模宅地等の特例 (含転居)

相続財産のうち、現在居住中の不動産がその大部分を占め、かつ、相続税の対象に該当するという場合において、その相続税を納めるための原資となる現金が用意できず、その不動産を売却して資金を捻出しなければならないとなると、住む家がなくなってしまうという事態が発生してしまいます。

「宅地を売却せざるを得ない状況」というのは、端的に言えば、相続人がその家に住み続けるつもりであるにもかからず、相続税を支払うために家を売却しなければならなくなってしまう、いわゆる「家なし」状態に陥ってしまう状態です。

それを防ぐために用意されていてるのがこの「小規模宅地等の特例」です。

この制度を利用すれば、土地の評価額を最大80%減額することができ、非常に大きな節税効果を生むことが可能になり、結果的に相続税を支払う必要がなくなることで、住居を失わずに済むという場合も少なくありません。

ただし、この制度の適用を受けるためには、これも一定の要件を満たしている必要がありますので、まずはそれらの条件に該当しているかどうかについて確認をとる必要があります。

【条件】

  1. 利用実績:相続前から被相続人と一緒に暮らしていた、もしくは事業用として使用していた、貸付事業用宅地として賃貸していた、という実績がある。(相続前に一緒に暮らしていなかった場合や、その宅地が別荘である場合など → 「家なき子特例  NO360 」)
  2. 相続後の継続利用:相続開始から申告の期限まで(保有継続要件)
  3. 土地面積:宅地の広さにも上限があり、特定居住用宅地等:330㎡(減額率:80%)、特定事業用宅地:400㎡(減額率:80%)、貸付事業用宅地等:200㎡(減額率:50%)とされています。これを超えたものに関してはこの特例の適用は受けられません。

これらの条件および基準に照らし、あなたのケースが該当しているという事になれば、各種減額率に応じて節税が可能となるわけです。

ただし、実際には「そう単純な話ではない。」という場合も多いというのが現実です。

”一緒に暮らしている”という定義に当てはまるかどうかが微妙であるとか、2世帯で住んでいた、事業用にしていた土地に途中から暮らし始めた、土地はあるが被相続人が病院や老人ホームにいるなど、そのパターンは実に様々です。

また、申告期限までにこの特例に関する申告をすることができなかったといった場合や、相続後一定期間が経過して売却してしまった場合の扱われ方などの例外的な扱いについて知りたいという場合もあるでしょう。(ちなみにこの小規模宅地等の特例は申告期限を過ぎた後であっても適用を受ける事が可能です。)

したがって、あなたの対象不動産を取り巻く事情が特殊であるケースや、判断に迷うといった場合には、必ず専門家である税理士や弁護士などに相談をしてみるようにしてください。

→ 相続税を専門とする税理士

この制度の適用を受ける事ができれば、数千万円単位での節税が可能になるため、なんとしても活用したいというのが本音かとは思いますが、一方で、早合点によって減額できると思い込んでしまっていたものが、実は条件に当てはまらず減額措置を受けられないという事になってしまうと、その資金計画等にも影響を及ぼす事になりますので、早めに正確な判断を仰ぐという意味でも、専門家の意見を聞きに行くという事を最優先としていただくのが確実です。

一方、対象不動産が郊外にあるという場合には、路線価の高い都市部の地域へ引っ越すというのも一つの手として考えられるでしょう。

どういう事かと言うと、この小規模宅地等の特例が適用されれば、「相続税評価額 × 20%」というのが最終的な相続税評価額となってきます。そうすると、単純な話ではありますが、このそもそもの「相続税評価額」が大きければ大きいほど、最終的な減額の金額が大きくなるわけです。

具体例で考えてみましょう。

郊外にある対象不動産が5,000万円の価値があるとした場合、これを上記の「相続税評価額 × 20%」という式にあてはめると、「5,000万円 × 20% = 1,000万円」と、1,000万円の価値に減額できることになります。その一方で、路線価の高い都市部にある対象不動産が相続財産となった場合であれば、そのもともとの土地の評価が1億円であった場合、同じ様にこの式にあてはめると、「10,000万円 × 20% = 2,000万円」と、結果として2,000万円まで評価額を下げることが可能となります。

このように、郊外で4,000万円の圧縮効果を得られるか、都市部で8,000万円の効果を得られるかという差が生まれてくるわけです。

この例では、話を解り易くするために、非常に単純化した例で大きな金額を用いてご紹介しましたが、もしかすると、あなたが可能な範囲で追加資金をいくらか捻出し、都市部に新たな不動産を購入することで、新居を得られる事になると同時に、より大きな節税効果が得られるような対策がとれる事もありますので、是非その点も頭に入れおいて検討課題の1つにしてもらえればと思います。

ただし当然のことながら、そのような不動産の売却や新規購入といった決断は、別途の資金計画やそもそもの人生設計にも大きな影響を及ぼしてくるものにもなりますので、これも複合的に、そして慎重に検討していく必要があるでしょう。

不動産の売却について詳しく知りたい方は、 NO21 を参照

地積規模の大きな宅地(土地)

地積規模の大きな宅地に関しては、土地の評価を20%以上減額できる評価方法を適用させることが可能です。(”地積規模の大きな”とは、単純に”広大な”土地の事だと考えておけば大丈夫です。大まかな基準としては、三大都市圏で【500㎡以上】、それ以外では【1,000㎡以上】、市街化区域でない場所は【3,000㎡以上】が目安です。)

これは、非常に広大な土地を売却しようとした際に、それがマンションや商業施設の建設が不可能な土地であった場合、なかなか買手が付かないといった事態も起きやすくなってしまうために用意された制度です。

そのような土地は、大規模な土地開発等を得意とする戸建て住宅の開発専門業者等に売却する事も可能性として高くなってきます。そして、そのような戸建て住宅の開発業者というのは、その広大な土地を小さな土地に分割することで住宅をいくつも建設していくわけですが、その際、それらの住宅をつなぐ道路なども必要になってきます。

道路を設置する必要性が生じた場合には、必然的にその分だけ住宅を建設できる土地面積が少なくなってしまいますので、開発業者はなるべく安く土地を買入れしようとするわけです。

そのため、その値下がり部分を予め減額してあげようというのがこの制度の趣旨になります。ですから、マンションや商業施設が建設可能な土地にはこの制度の適用は受けられません。

ただし、そのような再開発が無計画に行われてしまうと、逆に広い土地面積を必要とする公園や大きな公共施設などを設ける土地が無くなっていってしまう事にもなりますので、様々な条件も設けられています。

その条件とは、

  • 土地のみの減額評価
  • 三大都市圏(詳細は下記「チェックシート」参照):500㎡以上
  • 三大都市圏以外:1,000㎡以上
  • 市街化調整区域内でないこと
  • 工業専用地域内ででないこと
  • 指定容積率が400%未満である地域内の土地(東京都の特別区は300%)
  • 財産評価基本通達22-2に定める大規模工場用地でないこと

これらの項目で、各項目に該当していなければ適用は受けられないという事になります。

地積規模の大きな宅地に該当するかの「チェックシート」は、コチラ

なお、この制度の適用を受けた際の減額の計算式については、以下の様になっています。

路線価 × 地積 × 規模格差補正率

なお、この計算式においては「補正率」というものが適用される形となっており、土地面積が広くなればなるほど評価を減額できるようになっています。

またこの「規模格差補正率」についてですが、これは以下のような形で求めることになります。(下記、式中の「”A”=地積規模の大きな宅地の地積」、「”B”および”C”=下記の表参照」)

規模格差補正率 = A × B + C ÷ A × 0.8

・三大都市圏にある宅地の場合

地積 普通住宅地区、普通商業・併用住宅地区
B C
500㎡ 以上 1,000㎡ 未満 0.95 25
1,000㎡ 以上 3,000㎡ 未満 0.90 75
3,000㎡ 以上 5,000㎡ 未満 0.85 225
5,000㎡ 以上 0.80 475

・三大都市圏以外の地域にある宅地の場合

地積 普通住宅地区、普通商業・併用住宅地区
B C
1,000㎡ 以上 3,000㎡ 未満 0.90 100
3,000㎡ 以上 5,000㎡ 未満 0.85 250
5,000㎡ 以上 0.80 500

おしどり贈与の特例 (「贈与税の配偶者控除」)

これは端的には「贈与税の配偶者控除」の一種で、婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、「居住用不動」又は「居住用不動産を取得するための金銭」の贈与が行われた場合には、基礎控除110万円のほかに、最高2,000万円まで控除することが可能になるという制度です。

長年連れ添った夫婦に関しては、その(不動産の)贈与について税制上の優遇措置を与えてあげましょうというのがこの制度の趣旨になります。

これも特例の適用を受けるための条件が設けられており、

  • 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与
  • 配偶者から贈与された財産が、国内の「居住用不動産」もしくは「居住用不動産を取得するための金銭」
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日まで、贈与により取得した居住用不動産またはそのために贈与を受けた金銭で取得した不動産に、受贈者が現実に住んでおり、その後も引き続き住み続ける見込みである

以上の点に該当していなければなりません。ただし、この制度の利用を検討する際には気を付けるべき注意点というのが存在します。

それは、実際の相続時の「配偶者の基礎控除」や、上記でもご説明した「小規模宅地等の特例」などを活用した場合との税務メリットの大きさの差がどの程度あるのかについてしっかりと見極めて判断しなけれならないという点です。

つまり、このおしどり贈与の制度を利用して不動産に絡む贈与税を圧縮する効果が、他に用意された”より節税効果の大きな制度や対策”を利用するよりも、本当にお得なのか、という事についてよくよく検討してみる必要があるという事です。

そもそも配偶者の相続時に利用できる基礎控除というのは、最大【1億6千万円】まで認められているわけですし、小規模宅地等の特例を適用することが可能な物件であれば、このおしどり贈与を利用して圧縮できる減額部分は非常に小さな額になる事も考えられます。

さらに、不動産の贈与に伴う登記の変更等にかかる諸費用についても少なく見積もっても数十万円単位ででかかってくることになるわけです。

したがって、本制度に関しては、一部例外的なケースを除き、その恩恵を最大限生かすという事が難しい場合も多いかと思われますので、それらの点についてもしっかりと事前に専門家とシミュレーションをしてみてから判断するという事が大切です。

賃貸物件化:時価と相続税評価額の差

この「賃貸物件化」というのは、相続する予定の土地の上に、マンションやアパートなどの賃貸不動産を建てる事で、その分相続時の財産評価額を下げる効果を狙うという方法です。

これは既に解説した「小規模宅地等の特例」の適用を受けられるように、土地を更地のままにしておくのではなく、上物を建設することでその評価額を減額するという意味合いもあるのですが、現金等による相続よりも、その土地を借地もしくは借家とすることで、相続財産の圧縮を目指すという意味合いも含んでいます。

ただし、この方法も非常に大きな節税効果が見込まれる一方で、新たな建物の建設に資金の拠出を伴うという問題や、賃貸物件を建設後の物件の管理、賃貸経営に係る問題の発生といったリスクが伴う方法であるという点も現実問題として認識しておかなければなりませんので、慎重に判断していく必要があるでしょう。

具体的には、マンションやアパートなどの賃貸物件が建っている土地の事を「貸家建付地」と言いますが、この貸家建付地の評価額というのは、

本来の評価額 × (1 - 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合) = 貸家建付地の評価額

という計算式で求められることになります。

「借地権割合」というのは、【土地に応じて30~90%の範囲で路線価図に示されている割合値】を使用、「借家権割合」というのは、【一律30%】を適用、そして「賃貸割合」というのは、【借家権が利用されている割合として貸している部屋の床面積の割合をもとに算出】します。

また、貸家については、借家権割合がそのまま権利割合になりますので、

固定資産税評価額 - 固定資産税評価額 × 30% × 賃貸割合 = 貸家の評価額

という計算式で求められることになります。

したがって、土地の相続財産評価額を下げるために賃貸物件を建てるということになれば、満室に近い状態の方が節税効果は大きくなるという事になるわけですね。

不動産を売却する(生前贈与)

最後にご紹介するのが、不動産の「売却」です。

「不動産を”のこす”上での節税対策について検討してるのに、売却!?」

そう思われたかもしれませんが、これが最後の章になりますので、「売る気なんてない!」という方ももう少しだけお付き合いください。

この記事では冒頭で少しこの”売却”という選択肢についても触れましたが、ここまで基本的には被相続人が所有する不動産を相続するという時に、どうすれば相続税を減額できるのかという点について様々な手法をご紹介してきたわけですが、最後に少し視点を変え、頭を柔らかくし、発想を転換してみていただきたいと思います。

今ある不動産を、その相続を見据えて、早い段階で”売却”する真の目的、それは「生前贈与」による時間的価値の先取りです。

つまり、不動産すなわち土地(および住宅)としての形ではなく、それを”現金”、”キャッシュ”の形に変えて被相続人の生前の早い段階で次世代の人たちへと資産を移してしまう事により、他の様々な選択肢を可能にすることができるというわけです。

では、”他の選択肢”とは一体どのようなものが考えられるでしょうか?

毎年定額の贈与から親族の不動産購入を補助する形(住宅取得資金援助)や教育資金という形での贈与、配偶者贈与(おしどり贈与)から既に説明した相続時精算課税制度、そして生命保険への加入や資産の海外移転まで、金融資産、つまりキャッシュの状態であるからこそ利用できる贈与等の方法というものもあるわけで、相続時の対策に頭を悩ませるのではなく、むしろ生前にキャッシュでできる限りの移行を済ましてしまっておくという事も考えられる様になるわけです。

節税を目指すことの”真の目的”とは何でしょう。

それは、「支払わなくてはいけない税金を減らすこと。」そう言ってしまえばそれまでかもしれません。でも、不動産の絡む相続および相続税の問題、その着地点としてどういった形が最も理想的なのかと問われれば、

「住む家がきちんと確保できた状態で、なるべく多くの相続財産を残すこと。」

と言い換える事もできるのではないかと思います。

そしてもしそうであるならば、その”住む家”というが、本当に今のその不動産であることが絶対条件として考えなければならないものなのか、今一度考えてみる価値はあるのではないでしょうか。

もちろん、「先祖代々の土地を守っていかなければならない。」とか、「様々な思い出と共に非常に強い想い入れのある土地をそう易々と手放すわけにはいかない。」という方もいらっしゃるでしょう。

そういう方は、是非今回ご紹介して来た様々な節税手段を駆使し、”不動産を遺す”という大前提のもと、支払うべき税額を少しでも少なくするための努力を続けていただくしかありません。

しかし、特にそういった切なる想いがあるというわけでもなく、単に「住む場所が無くなったら困る。」とか、「なんとなく住み慣れた土地だし。」といった、漠然とした感覚だけでその土地を遺す方向で物事を考えていたという方であれば、生前に、キャッシュとして引き継ぐことで、新たな選択肢を検討するという道を切り拓くことも可能になるという事も知っておいて欲しいのです。

さらにもう一つ、不動産を相続の対象として捉えるのではなく、売却してしまうという選択肢を考えてみるメリットの1つとして、”価格変動リスクの低減”というものも挙げられるかと思います。

これは不動産市況の動向次第ではあるのですが、今もし仮に、あなたの対象不動産の価値が非常に高値で売却できる様な環境に置かれているとするならば、上記で挙げた売却できない様な状況にあるという場合を除き、その市場環境を好機と捉えて現金化することで、むしろ長い目で見た場合には、賢明な判断であったと振り返ることができるような対応が可能になるかもしれないのです。

「相続、相続。」「税金対策、税金対策。」と頭でっかちになってしまっていては、不動産市況がどうなっているのかといった所まで気を向ける事は難しいかとは思いますが、”売却”という手段を検討してみる事で、そういった側面にも目を向ける事ができるようになってきます。

したがって、一度価格を調べてみるという事だけでも、すぐに取り掛かれる作業として行ってみられることを最後にお勧めしておきたいと思います。

ただし、そのように”贈与”によって確実に、そしてできるだけ多くの財産を遺せるようにするためには、言うまでもなく、そもそものその原資となる資金を生み出す元となる不動産を、可能な限り高く売却するという事が何よりも大切です。( NO39 )

「不動産のをうまく売り抜けるなんて、難しそう。」はじめは誰もがそう感じてしまうものですが、不動産業界や不動産マーケットに精通していない”素人”の方でも、いくつかのポイントをしっかりと押さえておくことで、満足のいく売却を実現するという事は十分可能です。( NO21 )

不動産の売却も併せて検討してみようという場合には、外してはならないポイントをしっかりと押さえ、しっかりと売却資金を確保できる形での着地を目指すようにしていきましょう。

まとめ

以上、今回は不動産を所有している場合における節税対策についてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。

各対策の詳細について、今回の記事の中で説明しきれなかった部分も多くあり、一部簡潔に「このような方法もある。」という紹介のみとさせていただいた部分もありましたが、気になった部分については他の記事も参考にしていただきつつ、さらに節税対策に対する知見を深めていってもらえたらと思います。

節税対策には、「これだけやっておけば間違いない。」という唯一無二の正解と言うものは存在しません。

不動産市況は動くものですし、税制も変わり続けます。

そんな中で、将来的に、本当にその時が来た時に後悔してしまうことの無い様、しっかりとアンテナを張り、専門家の力も最大限に活かしながら、しっかりと対策を採り”続けて”いっていただけたらと思います。

それではまた。

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