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【コラム】『公示地価2020年1月1日』国土交通省が3月18日発表|土地の価格動向を探る

【公示地価2020年1月1日】国土交通省が3月18日発表|土地の価格動向を探る

2020年3月18日、国土交通省から『公示地価』が発表になりました。

2020年1月1日時点の土地の価格がどのような結果となったのか、見ていく事にしましょう。

【公示地価】概況

まずはその結果から見ていきたいと思いますが、今回の調査では、

  • (全国平均) 商業・工業・住宅の全用途【+1.4%】
  • (全国平均) 住宅地【+0.8%】
  • (全国平均) 商業地【+3.1%】

となりました。

全用途(全国)としては5年連続の上昇、地方圏でも28年ぶりに上昇へと転換するなど全国的に堅調な推移となりました。

住宅地に関しては、超低金利が長引いている影響などから0.8%のプラスと上昇基調が維持された形となり、商業地に関しても、3.1%の上昇と引き続き強い上昇基調にあることが確認されました。

特に商業地においては、東京、大阪、名古屋という三大都市圏で5.4%のプラスと非常に大きな伸びを示しており、企業の本業拡大による旺盛な需要や観光客目当てに開発を進めるホテルチェーンなどの需要を反映した形となった上、地方においても札幌・仙台・広島・福岡という中核都市で11.3%の上昇と非常に大きな伸びを示しました。

地方では、観光都市としての訪日客向け商業施設需要やオフィス開発が活発となった上に、東京都心などの地価上昇を受けた利回りの低下などから地方へと流れた資金が押し上げた影響もあると見られています。訪日客の恩恵を強く受けた地域としては、北海道や沖縄、大阪といった地域での調査地点が上昇率上位となっています。

さらに、全国的な地価上昇圧力は、地方中核都市以外の場所にも及んでいることが確認され、その他24都道府県で地価の上昇が確認されるという結果となりました。

ただしその一方で、調査地点のうち上昇地点は全体の48%で、全国一律での地価上昇と評価するレベルには達していないというのが実情です。加えて、新型コロナウイルスの影響による訪日客の激減等によって、地方の観光都市などでの積極的な開発が下火になってくれば、当然そうした地域の地価にも悪影響が及ぶことになると予想され、今後の動向は不透明と言えるでしょう。

また、今回2020年の地価では、2019年にあった大型の台風の影響も出ており、浸水被害のあった長野県住宅地や福島県の一部などにおいて地価が下落するという現象も発生しています。

今後の見通し

全国的に主要調査地点での地価上昇が確認された一方で、東京の住宅地ではその上昇率の”伸び”が5年ぶりに縮小に転じるなど、一部その上昇基調の持続力が危ぶまれるような動きも見え始めてきています。

全国での最高額としては今回も東京都中央区銀座4丁目、山野楽器銀座本店所在地でしたが、その伸び率はほぼ横ばいを記録するなど、価格変動の方向性に少し変化の基調が現れてもおかしくない展開となってきています。すでにその価格も、1平方メートルあたり5,770万円とバブル時代の最高価格を上回っており、銀座の周辺地域においても上昇率が縮小し始めるなど、地価下落の前兆とみる動きも出始めています。

都市部では開発へ向けた期待感がある地域と、既に開発が一段落ついた地域などによる差も生まれてきており、不動産価格の波及の特性である”都市部から地方へ”という流れもあって、銀座周辺の様な下落傾向が今後地方へと時間差で移っていく可能性は十分に考えられます。

ここ数年の不動産取引の動向で見てみると、年度ごとにその規模感には波がある状況で、19年度は比較的大きな取引規模があったと見られており、海外投資家の投資意欲は引き続き強いものがある一方で、現実的な利回り低下による投資姿勢の慎重化というのも出始めている可能性もあり、その見通しには暗雲が垂れ込めはじめています。

新型コロナに端を発したパニック的な株式市場の動向等もあり、景気後退も強く意識されつつある中で、2020年以降の地価の変動には不安要素が非常に多い状況となっています。

新型コロナの影響は2020年3月時点においては長期化を予想する声も日に日に増えており、実体経済への影響は見通せない状況となりつつあります。各国政府の活動自粛要請の影響をもろに受ける形となってしまう業態等を中心に、企業活動にも多大な影響があることは間違いなく、それを受けた地価への影響というのも今後どうなっていくのか、予断を許しません。

事業活動に大きな影響を受けた企業の業績悪化や、株式市場での大きな損失を抱えた投資家の投資姿勢の消極化といった影響が不動産市況に及べば、地価にも強い下落圧力がかかって来る事が予想され、その方向性を見通すのが非常に難しくなりつつあると言えるかと思います。

海外勢の旺盛な買い意欲が引き続き今回のパニック的な下落圧力をチャンスと捉えるのか、それとも買い控えなど投資行動の変化をもたらすのか、今後の地価の方向性を占う上で、ここからの数か月というのは特に目が離せないタイミングとなるでしょう。

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