当サイトでは、「不動産売却」と「税金」の関係について、その「全体像および計算方法等」については、「不動産”売却”時の【手取り額】が分かる!『税金の計算方法』『節税テクニック』について」の記事で、「確定申告」については、「不動産売却の確定申告|申告に不慣れな人が知っておくべきポイントまとめ」の記事で、それぞれ詳しく解説していますが、税金について考える際、こうした内容の他に、
「消費税ってどうなるの?」
と、疑問に思われる方もいるかもしれません。
そこで今回はこの「消費税」について、”不動産の売却に際して”という観点から、そのポイントを解説していきたいと思います。
【アンサーBOX】あなたの疑問を解消!
- あなたが「個人」である(「課税事業法人」ではない)場合、その不動産売却に消費税はかからない。したがって、買主から消費税を徴収する義務もない
- 「個人」であったとしても、「個人事業主」として、不動産投資の一環等により不動産を売却するという場合には、その取引には消費税がかかる
- あなたが「課税事業者」で、不動産を売却する場合には、消費税がかかる
- 土地に消費税はかからない。建物(戸建てもしくはマンション)にのみ消費税がかかる
消費税とは
「消費税」というと、一般的には”消費者”の立場から見た「モノやサービスを購入した際に支払うもの」というイメージが先行しますが、その「納税義務者」はというと、「個人事業者」と「法人」ということになっています。
これは、ご存知の方も多いように、消費税が「間接税」であることに起因しているわけですが、モノやサービスを購入した際に支払われる消費税というものは、その売主からしてみれば、あくまで”間接的”に徴収しているに過ぎません。
そのモノやサービスの提供者である売主が受け取った消費税は、そのまま売主が自分たちの利益として手にしているわけではなく、一般消費者から”間接的”に預かったものとして改めて国および地方自治体へと納められているのです。
本来ならば国及び地方自治体が集めるべき消費税を、直接モノやサービスの取引を行う売主側が間接的に集めている形になるため、「間接税」と呼ばれるわけですね。
消費税の税率
「消費税の税率は、今何%でしょうか?」
そう聞かれれば、2019年10月を迎えて以降は、誰もが即座に「10%」と答えられるかとは思いますが、あなたはその”内訳”を知っていますか?
日常生活において、消費税の内訳まで知っている必要があるかと言われれば、その必要はないのですが、せっかくの機会ですので、豆知識としてご紹介しておきましょう。
実は、「消費税率:10%」というのは、「消費税(国税):7.8%」と「地方消費税(都道府県税):2.2%」の合算なのです。
つまり、私たちが普段支払うことになる10%の消費税というのは、国に納める部分と、地方自治体に納める部分に分かれていたのです。
ちなみに、2019年10月以降も「飲食料品」については「軽減税率」が適用され、それまでと同じ「8%」という消費税率が適用されていますが、当然この「8%」にも内訳があり、「消費税(国税):6.24%」と「地方消費税(都道府県税):1.76%」という割合になっています。
”10%”と”8%”という2つの税率が混在し、スーパーで食料品と日用品を合わせて買う場合などは、ややこしい事この上ない状態になってしまっていますが、これも1つの”うんちく”として、今度消費税が話題になった際などに誰かに話してみてはいかがでしょう。
不動産取引における消費税
さて、ここからは本題である”不動産を売買する際の「消費税」”という問題について整理していきたいと思います。
不動産を売却するとなった時、売る側の人間としてはこの「消費税」についてどのように捉えておけば良いのでしょう。
ポイントは大きく分けて、2つです。
- 売買の対象は「土地」なのか「建物」なのか
- 取引の当事者が誰なのか
それぞれ見ていきましょう。
売買の対象が「土地」か「建物」か
まず、その対象となる不動産が「土地」なのか「建物」なのかによって、消費税の有無が変わってきます。
結論から言えば、土地の売却には消費税はかかりません。
税法上、消費税という名の通り、”消費”されるものではない「土地」に対して消費税を課すという事自体がなじまないため、とされています。
その一方で、「建物」、つまり「戸建て住宅」や「マンション」の売買という事になると、そこには消費税が発生してくる事になります。
したがって、
- 土地の売却:消費税はかからない
- 建物の売却:消費税がかかる
まずはこの考え方が基本となることを押さえておいてください。
その上で、次章の”当事者が誰なのか”というポイントについて整理していきます。
取引の当事者
不動産売却における消費税は、「土地にはかからず」、「建物にのみかかってくる」という事でした。
その次に消費税課税の有無の判断基準となるのが、その売却の「当事者」が誰なのかという点です。
結論から言うと、売却する側(今その不動産を所有している側)が不動産業者等の「課税事業者」である場合には、消費税がかかってくるという事になります。
これは「消費税法」の中に、消費税のかかる資産の譲渡の規定として、
資産の譲渡等:事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供 「消費税法 第二条八項」
このような項目があるためです。
つまり、「”事業として”資産を譲渡する場合については、消費税を負担してもらいます。」という事を言っているわけですね。
ただし、これはあくまで「消費税がかかるか、かからないかは、その不動産取引の当事者が誰なのかによって決まります。」という趣旨の説明をしているのであって、「”誰が”その消費税を負担するのか」というのは、また別の話です。
当然のことながら、不動産売買という”取引”に対して「消費税」が「かかる」のか「かからない」のか、という話と、実際にそれを支払うのが誰なのかという話は、別問題なわけです。
そして、この消費税の”負担”という意味においては、「消費税は常に買主が負担する」という事になります。
つまり、買手側の立場に立ってシンプルに整理をすると、「個人同士での売買なら消費税がかからないので安く済む」一方で、「不動産業者から買うと消費税分高くなってしまう。」ということになるわけです。
また、逆に売主側の立場から整理すると、「その取引に消費税が発生した場合であっても、それを買主に請求する必要が出て来るだけで、売主が負担する必要はない。」ということになります。
では、売却する当事者が「課税事業者」ではなく、「個人」の場合はどうなるのかと言うと、消費税はかかってきません。
要は、「個人間の取引という事であれば、そこに仲介業者として不動産会社が介入していたとしても、消費税を負担する必要はありませんよ。」という事になるわけです。
ということで、あなたが「課税事業者」ではなく、「個人」ということであれば、その売却に「消費税」が発生することはありませんので、税務処理という点から言っても、あなたは特に何も考える必要はないというのが結論になります。
ただし、純粋な「個人」ではなく、いくつもの不動産を所有しているような、いわゆる「個人事業主」として不動産を売却するといった場合には、買主側に消費税の負担が発生してくることになりますので、そこは注意が必要です。
個人事業主として不動産売買を行っているのであれば、既に税務処理についても十分な知見はお持ちかとは思いますが、初めて売却するといった場合などであれば、税理士に事前に相談するなどして、しっかりとした対応を取っておく必要がありますので意識しておいていただければと思います。
その他の消費税
さて、ここまでは”不動産そのもの”に関する「消費税」について整理してきましたが、不動産取引においては、不動産の売却代金以外にも様々な費用が発生します。
そしてその中でも、
- 不動産業者への仲介手数料
- 司法書士費用
- 金融機関への融資等に係る手数料
こうしたものには消費税が発生しますので、注意が必要です。
ただし、こうした費用類に関しては、最終的に請求される時点で消費税が含まれた金額が提示がなされるかと思いますので、そこを確認しておけば、あなた自身が気を配って何か別途手続きを取る必要があるといったことはありません。安心して下さい。
まとめ
さて、今回は不動産売却にまつわる「消費税」ということについてまとめてきましたが、いかがでしたでしょうか。
もしかすると、少しややこしく感じてしまう部分もあったかもしれませんが、おそらくこの記事をご覧いただいている方は、個人の方で不動産取引自体に不慣れな方ではないかと思いますので、そういった場合であれば、単純に「消費税のことは気にしなくて良いんだな。」と肩の荷が下りたかもしれません。
当サイトでは様々な角度から、不動産売却に際しての”基礎知識”的な内容を記事にしていますので、そういった方は是非他の記事も覗いてみていただけたらと思います。
NO21
NO25
それでは。