不動産を売却しようと考えた時、最も気になる事はと言えば、やはり「いくらで売れるの?」ということ。つまり『売却価格』についてではないかと思います。誰もが「1円でも高く買い取って欲しい!」そう思うでしょう。
では、あなたが売却しようとしているその不動産を最も高く買い取ってもらうためには、あなたはどのような事に気を付け、何をする必要があるのでしょうか。
「不動産価格」というのは、単純に何らかの基準をもとに機械的に算出されるようなものではなく、いくつもの要素から導き出されます。そして、それらの各要素というのは、あなた自身が動かしようのないもの(=「外的要因」)と、あなた自身の動き方・少しの努力によって変えられるもの(=「内的要因」)とに分けて考える事が可能です。
そこで今回は、「不動産を1円でも高く売るためにあなたがやるべきこと」として、それらを「外的要因」と「内的要因」に分けて考え、あなたが何を理解し、どう動いていく事で、高値での売却を実現することができるのか、という観点からお話していきたいと思います。
もうすでに売却へ向けて動き出しているという方も、これから売却について色々と動いていこうとしているという方も、あなたが今どんな状況に置かれていようとも、今すぐに取り組める”あなたの不動産価値を高める方法”が見つけられるかと思いますので、是非最後までご覧いただければ幸いです。
それではさっそく見ていきましょう。
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不動産価格に影響を与える要因について知る前に
まずはじめに、一点だけ「注意事項」があります。
それは「外的要因」、「内的要因」それぞれの捉え方についてです。
外的要因の捉え方
まず外的要因に対する捉え方ですが、これは端的に言うならば、「『外的要因』が自分の力ではどうしようもないものなのであれば、それについて考えても無駄でしょ。」とは思わないでいただきたいという事です。
ここで言う”どうしようもない”というのは、あくまで”不動産価格に及ぼす影響を変えることはできない”と言っているに過ぎません。
つまり、「決して『不動産価格の下落は避けられない = 安値でしか売れない』とはならない。」という事をしっかりと理解しておいていただきたいのです。
対応策はあります。
「外的要因」によって不動産価格が下がってしまったとしても、あなたが安値で売却せずに済む方法、それは、
「売らない」
ということです。
もう少し正確に言うと、「価格が下がっている時には売却せず、売る時期をズラせば良い」のです。
あなたが不動産を売却しようかと考えた時、その不動産価格が「外的要因」によって著しく下落してしまっているような状況下にあるのならば、どうしても今売却せざるを得ないという事情がある場合を除いては、「そのタイミングでは売却しない。」という選択をすることで、「安い売却価格で売ってしまう。」という最悪の結末は回避することが可能になるわけです。
シンプル過ぎる考え方で、「なんだそんな単純な事か。」と思われたかもしれませんが、いざ実際にそういう環境に置かれた時、そうした考え方に基づいて冷静に判断できる人というのは、実はごく少数派であるというのが現実です。
なぜそうなってしまうのかと言うと、その理由は2つあります。
まず1つ目は、「(今なら売却によって)数千万円というお金が手に入るかもしれない。」という現実が目の前に現れた時、それを棒に振ってまで次のタイミングを待とうと冷静に判断するのは難しいということです。
人間には「欲」があります。自分ひとりや身内だけで売却検討をしているのならば、ギリギリそういった冷静な判断ができる可能性もないとは言いませんが、多くの場合、不動産売買には専門業者が関わることになります。
そんな専門業者から、「今売っておかないと、今度いつこんなチャンスが来るか分かりませんよ。」とか、「今が高値、絶好の売り時ですよ。」などと言われてしまうと、こちらは素人ですので、やはり「そうなのかなあ。」と考え始め、売り急いでしまうのです。
そのため、後ほど詳しくご紹介しますが、「不動産業者(および査定業者)の選定」というのは何よりも大切な要素となってきます。
そして2つ目の理由が、都合よく自分を説得してしまう人が多いためです。
「不動産価格が今売却に妥当な水準にあるのか」、「不動産価格は今後どのように推移していきそうなのか。」と、自分で冷静に分析することをせず、「不動産市況が今後どうなるかなんて、どうせ誰にも判らないんだし。思い立ったが吉日。」と、早期の売却を正当化し、自分自身を半ば強制的に納得させることで早く現金を手に入れようとしてしまうのです。
確かに、今後の不動産市況の変化を正確に読むなどということは誰にもできません。不動産のプロでさえ、そんなことは解り得ないのです。
しかしそれでも、今現在の足許の状況や過去からの推移、歴史的な動向など様々なデータなどを見極めることで、自分なりに納得のいく形で見通しを立てるという作業をすることはとても大切です。
安易に諦めてしまってはいけません。専門家の意見等も参考にしつつ、しっかりと自分の頭でも整理してみるのです。そして、自分の中での見通しを立てられたところで、その不動産価格の妥当性を見極めるべきなのです。
そうかといって、必要以上に難しく考える必要はありません。大切なことは、丸投げせず、一旦落ち着いて、自分でもしっかりと考えてみるということ、そして、納得のいく売出価格・売却価格での売却の実現を目指すというその”姿勢”こそが非常に重要なのです。
以上の様な側面から、不動産売却の検討を始めた人たちの多くは、売り急いでしまうことになるのです。
では、不動産価格が下がり過ぎていると感じるような状況下において、しっかりと「売らない。」という判断ができるようにするためには、不動産の素人であるあなたは一体どのような事を心掛けておく必要があるのでしょうか?
それはもうお解りですね。
「不動産価格に影響を与える外的要因について、正しく理解し、しっかりと冷静に判断する。」
その基本姿勢を大切にするということです。
売却しようとしている不動産の売出価格・売却価格について、自分の中で納得を得るためには、それを判断するための前知識・情報が不可欠です。
安心してください。これから本文中でその詳細についても解説していきます。
本来回避できたはずの大きな損失を被ってしまわないためにも、まずはこの「正しく理解する力を身につける」、「冷静に判断する」というポイントを是非覚えておくようにしてください。
内的要因の捉え方
では、もう一方の「内的要因」についてどうでしょうか。
これは「外的要因」とは違い、「自分の力で不動産価格に影響を与えることのできる要素」という風に言うことができます。
これについても具体的な内容に関しては後述しますが、あなた自身が”行動する”ことで、不動産価格を上げられる要素も存在するということです。
「自ら考え」、「自ら行動する」そう聞くと、「(不動産全般について)ややこしいことはよく解らないから。」とか、「今から自分で色々と動くなんて面倒くさそうだから嫌。」そう思われた方も多いでしょう。
そんな方は是非、自分の不動産が思っていたよりもはるかに高く売れた時のことを想像してみてください。
なんとなく「このぐらいかな。」と想像していた売却価格よりも、数十万円、数百万円、時には数千万円単位で多くの金額を手にすることができるとするならば、そうした努力もする気になってはきませんか?
予想より大きくなったその資金を元手に、次に購入予定の物件の軍資金の足しにするのもよし、旅行に出掛けたり、趣味のものを購入するのに使うもよし、もちろん貯金しておくという堅実な方もおられるでしょう。使い方はあなた次第です。
不動産というのは、それでなくても大きな額が動く取引です。数千万円や数百万円という売買価格のうち、わずか数%違っただけでも、それが何十万円にもなるのです。後々になって、「頑張って良かった。」そう思えるよう、あなたの中にある「めんどくさそう。」とか「大変そう。」というイメージは一旦捨てて、是非少しだけでも自分で動いてみるようにしましょう。
心配はいりません。あなたができることは、この後全てお話していきます。
さらに、不動産をうまく売却するために必要な情報は、このサイトの記事をくまなく見ていたいただければ大方得られるようになっていますので、是非いろいろと読んでみてくださいね。
NO21
外的要因
それではここからは、不動産価格に影響を及ぼす各要素について具体的に見ていきたいと思いますが、まずは「外的要因」、つまり不動産価格に影響を与える要素のうち、あなたが動かしようのないもの、自分自身ではどうすることもできないものについて考えていきたいと思います。
不動産市況
はじめにご紹介するのが「不動産市況」です。
これは言い換えると、「不動産市況が”好況時”に売却することを目指さなくてはならない」という事になります。
不動産関連の情報に精通している人からすると、当たり前過ぎる話にはなってしまいますが、多くの人は初めて不動産を売買する、つまり、今まで不動産関連の情報を気にしてきたことがないという人たちですので、この「不動産市況(=不動産価格)は変動する」という事実でさえ、しっかりとした認識を持てていないというのが実情なのです。
解り易い例を挙げてみましょう。
日本人であれば誰もが”バブル景気”の時代というものがあったことはご存知かと思います。
”昭和”・”平成”という時代を駆け抜けた年代の方たちにとっては、「懐かしいな~。」とか、「あの頃は良かったな~。」とか、場合によっては「思い出したくもない。」など、様々な感情が湧き上がってくるかもしれません。
そんな”バブル”と呼ばれる時代を作り上げた原因、その象徴こそが「不動産(価格)」です。
バブル期の1980年代後半には、「不動産神話(土地神話)」なるものが存在していました。その時代には、「不動産価格というのは、上がり続けるものだ。」、「不動産には普遍的な価値があるから(投資をしたとしても)大損することはない。」という話が、何の疑いもなく信じられていたのです。
今では考えられないようなことですが、「株価」についても同じような状況にありました。1989年12月29日、日経平均株価は史上最高値である”3万8,915円”をつけ、ほんの一部の識者を除き、一般的には「株価はまだまだ上がる。」と思われていたのです。
話を戻しましょう。
ここで知っておくべき大切なポイントは、「不動産価格は変動する」という、一見当然の事として捉えられているこの事実を、改めて再認識しておく必要があるという事です。
不動産価格を決定づけるこのシンプルにして最大の要因。これこそが不動産価格について考える上での全ての”出発地点”、”土台”とも言える部分となります。
加えて、「当たり前」ついでに補足しておくと、”価格が変動する”という事は、価格が”上がる”こともあれば、”下がる”こともあるという点をしっかりと認識しておかなければなりません。
つまり、「不動産価格」が、いえ、もっと言えば、「”あなたの”不動産」の価値が”最高値の時”に、売却するというのが最も理想的な売却のタイミングと言えるわけです。
ただし、その理想のタイミングをそう簡単に見極めることはできません。不動産投資のプロと言われる人でさえ、そんなことは不可能です。
もし仮に、あなたが関係している不動産関係者から、「今が最も高く売れるタイミングですから、今すぐ売却することを考えましょう。」という様な話を提案されたとしたら、おそらく高い確率でその人は信用しない方が得策でしょう。
「そんな誘い文句に易々とだまされるほどこっちもバカじゃないよ。」そう思ったあなた。
彼らもバカではありません。プロです。
手を変え品を変え、知恵と経験によって、素人をすぐに信じ込ませてしまう事なんて、朝飯前なのです。
遠回しに、そして言葉巧みに様々な形であなたの脳みその外堀を埋めてきて、最終的にはあなたに「今が一番売り時みたいだから早く手続きを進めていった方が良さそうだね。」そう思い込ませてしまうのです。
そんな話をしていると、「不動産業者はどこも信用できなさそう。」と不信感ばかりが先走ってしまいますが、 NO35 なども参考にしていただきつつ、しっかりと見極める判断力を身に付けていくようにしましょう。
具体的な不動産価格の調べ方について知りたい方は、 NO63 でも詳しくお話しています。
季節性:3月や9月を意識
年間を通して不動産マーケットを見た場合、やはり3月を中心として、一部9月といった時期も人の移動が多くなる時期ではあり、売却に向けて動きやすいタイミングとなってきます。
近年では、「働き方改革」が注目を浴び、新興企業を中心に柔軟な勤務形態や転勤制度などを採用しているという会社も増えましたが、やはりまだまだ大企業の決算期は3月が中心ですし、入学シーズンが4月であることに変わりはありません。
他のタイミングではなかなか買手が付きにくかったかもしれない状況でも、そのような”人が移動する”、”新天地を求める”といったタイミングであれば何かしらの動きが起こる事も十分に考えられます。
一昔前と比較すると、不動産の売買が行われる時期が分散化されてきているというのは事実ですが、この”3月”、”9月”というのは一つの”売り時”として意識しておくに越したことはないでしょう。
周辺環境
次に「周辺環境」の変化による影響です。
当然ですが、不動産価格というのは、周辺環境の変化にも大きな影響を受ける事になります。
「近くに駅ができる」、「大型スーパーができる」、「自治体が補助金制度や生活・育児支援等に力を入れ始める」など、ポジティブな要素が発生する事によって周辺地域の不動産価格が上昇するようなこともあれば、逆に「ごみ処理場が移転してくる」、「パチンコ屋が建つ」など、住民にとって環境が悪化するような事態となれば、当然不動産価格は下がってしまいます。
不動産を売却しようとしている立場からすれば、こうした要素も外的要因としては当然意識しておかなければなりません。
良い影響を及ぼすものについては、その実現性を鑑みて判断していくという事が必要になってくるでしょうし、「どうも住民にとって歓迎せざる施設の建設等が見込まれている。」というような話が出ている場合などであれば、できるだけ早い段階で売却に向けた動きを加速させておく必要が出て来るでしょう。
もちろん、売却する物件の条件を良く見せるために、周辺環境等の状況について嘘をつくなどということは決してしてはいけません。そんなことをしたところで、自分の首を絞める結果となるだけです。
そういった情報開示の部分等については、後々の訴訟問題などに発展することも十分に考えられますので、仲介を依頼する不動産業者などの専門家のアドバイスも参考にしながら慎重に対応するようにしてくだい。
賃貸物件の場合
売却を予定している物件が賃貸物件である場合には、入居状況や入居者の属性といった、収益性に直結する部分についても外的要因として考慮しておかなければなりません。
ここでは、収益物件の売買等について詳細に掘り下げることはしませんが、もしあなたが収益物件の売却を検討しているとなれば、買手も収益物件として精査してくるという事になりますので、その利回りを下げる様な入居者の減少や、賃料の支払い状況に不安があるような問題のある入居者がいる場合などは、あらかじめ何らかの対策を講じておく必要があるでしょう。
もしもそういったネガティブな状況にあるとすれば、そういった部分も加味した上で、売出価格を調整する(ディスカウントする)という事もできるでしょうし、売却前にしっかりと対応を済ましておく事で物件の魅力度を向上させることができれば、その分価格面で強気に出られるようにもなるでしょう。
その辺りの対策等については、収益物件を売買するような方であれば百も承知かと思いますが、”自分でできること・すべきこと”、”すぐには対処できそうにないこと”などについて、売却したいタイミングとの兼ね合いも考慮しつつ、的確に見極めていく必要があるでしょう。
買主側が売買目的や収益化を目的としている場合には、その買主自身がいわば”セミプロ”とも言えるような人たちであるという事にもなりますので、そうした場合には、仲介を依頼するこちらの味方となってくれる不動産業者ともよく相談の上、対策を施していくようにしなければなりません。
内的要因
では次に「内的要因」、つまり「あなた自身が能動的に動くことで不動産価値を高めることができる、その売却価格に影響を及ぼすことができる要因」について見ていくことにしましょう。
査定業者をしっかりと選ぶ
不動産の売買というのは、現実には素人には非常にハードルが高い取引、手続きです。
そもそもの買い手候補を探し出す営業活動という面においても、不動産の素人ではそのノウハウもありませんし、運よく見つけられたとしても、その後の手続き面において大きな不安が残ります。
また、仮に友人・知人間、もしくはそのツテを辿っての完全な個人間取引を行う場合であったとしても、「契約書類の作成」や「正確な物件の価値算定」、「支払いに係る取り決め」などなど、実に多くの部分において自力でクリアしていくには相当厳しいという局面というのが出て来る事になるでしょう。
そう考えると、やはり現実的には不動産業者を頼るということになってくるわけなのですが、そこでさえもまた新たな壁が出てきます。
それは、一体どの業者に査定・仲介の依頼をすれば良いのかが判らないということです。
この点は、あなたが不動産の売買において素人であると自認しているならば、最も大切な部分です。
つまり、あなたが不動産を1円でも高く売るためにしなければならないことの中で、最も重要なことは何かと言われれば、それは間違いなく「不動産業者(査定業者)の選定」であると言えるのです。
これは断言できます。
あなたの”分身”となり、あなたの気持ちに寄り添いつつも、プロフェッショナルとして顧客(あなた)の不利益となるような部分をしっかりと見極め、最大限の利益を獲得してくれるような存在、それを見極めることが何よりも大切なのです。
ただしこの「不動産業者の選び方」については、ここで詳細に解説してしまうとそれだけで話が非常に長くなってしまいますので、細かく解説を行っている NO35 を是非併せてご覧いただければと思います。
もう一度言います。
「不動産を1円でも高く売りたいけど、一体何をすれば良いの?」そんな不安がある方は、最低限これだけは覚えておいてください。
あなたが最も力を入れて取り組むべきは、『不動産業者(査定業者)の選定』です。
業者任せにしない
ただし、そうは言っても、何もかも業者に丸投げではいけません。
100%信頼して、大きな安心感のもと、全てをお任せできるような不動産業者がすぐに見つけられるのであれば、丸投げに近い状態でも一向に構いませんが、なかなかそうはいきません。
実際に不動産業者を見極めていくための眼を養う上においても、あなた自身がある程度の緊張感を維持したまま手続きを進めていく必要がありますし、最終的にしっかりと期待以上の売却代金を手にするまでは大きな判断ミスは避けなければなりません。
では、業者任せになってしまわないためにあなたができることとはどんなことでしょうか。
具体的には、不動産の売出し活動の中で、内覧者を増やせそうな施策を積極的に業者側へと提案したり、ホームページ上の写真をより魅力が感じられるようなものに随時差し替えたりといった、不動産の専門知識がなくともできるような行動をしっかりととっていきつつ、業者側の担当者と密に連携を取るということが非常に大切です。
開示する情報に関して補足しておくと、ホームページ上での物件情報などにおいて、対象物件を公告する場においては、ウィークポイントを敢えて載せておくという事も大切です。
人は良い話ばかりが続くと、逆に疑いを持ち始めます。
住宅としての安全性や信頼性が担保できないような大きな問題・欠陥等については別途適切な対応が必要であることは言うまでもありませんが、細かな傷や汚れ、通常使用には影響はないものの気になるようなマイナスポイント等については、正直に提示することで、買手側に「実直な売手」であるという印象を与えることができると同時に、「安心感」をもたらすことが可能になります。
ただし、その場合にも、悪い印象ばかりが先走ってしまう様な形で、馬鹿正直にマイナスポイントを列挙してしまっていてはいけません。
「〇〇という部分は少し良くないが、このようにその問題を解決して住んでいた。」とか、「〇〇については気になる人もいるかもしれませんが、○○をして対処することも十分に可能。」といった”改善策”を併せて提示するのです。
そうすることで、マイナスポイントをマイナスポイントのまま終わらせることなく、「正直者」だという良い印象を与えた上で、さらに「それほど問題視する必要もなさそう。」と感じてもらうことができるのです。
このあたりの”テクニック”とも言える部分については、場合によっては不動産会社側も非常に詳しい場合もありますので、自分でも研究しつつ色々と相談をしてみるようにすると良いかもしれません。
また、業者側と密に連携するという部分に関しては、もう一つ大切な意味合いが含まれています。
それは、業者側に緊張感を持ち続けてもらうという事です。
不動産業者というのは、当然のことながら、同時にいくつもの案件を抱え、それらを同時に営業しつつ、処理を勧めつつ、新たな営業も行っているような状況にあるのが常です。
これは、業者という会社単位ではなく、その担当者個人というレベルでの技量の差ということにもなってくるのですが、やはりあなたの物件をその他大勢の中に埋もれさせてしまわないためにも、仲介業者として契約を結んでいるからにはしっかりと密にコンタクトをとり、随時進捗状況を確認し続けるぐらいの姿勢をキープしておかなければなりません。
時間的余裕をもつ
これは既にお話した内容とも重複しますが、絶対に売却を急いでしまってはいけません。
時間的余裕がない中での売出活動という事になってしまうと、不動産市況の好況時という理想の売却時期をうまく捉えることができなくなるばかりか、価格交渉等の局面でも買い手側や場合によっては業者側からも妥協を求められたりといった状況を生んでしまうことになります。
買手側が「この売却希望者(あなた)は、早く売却したいという部分の方が大きそうだから、多少安めの希望購入価格を提示しておいても大丈夫だろう。」とか、「売手は急いでいるようだから、別に買い急がなくてもそのうち価格を下げてでも売ろうとしてくるだろう。」と考え、交渉時に上手に立たれてしまうのです。
あなたの都合で、本当にその売却資金をアテにしなければならないような、のっぴきならない事由等がある場合を除いては、可能な限り十分な時間的余裕を持って売却へ向けた活動を行っていくようにしてください。
清掃・整理整頓
これは改めて本当に基本中の基本といった部分にはなってしまいますが、売出物件を1円でも高く、つまり魅力的に見せるためには、物件の外回りから内部の細かな箇所に至るまで、隅から隅まで限界まで美しくしておくようにしましょう。
場合によってはハウスクリーニングなどプロの手を入れても良いでしょう。そうした費用は売却時のコストとして売却代金に対する税額の控除項目ともなりますので、長期で考えれば無駄にはなりません。
特に目を光らせておく必要があるのが、「水回り」です。
もしも内覧希望などがあった際には、主婦の方などは水回りの汚れや劣化具合をよく気にされます。
一般論で言っても、水回りがあまりにも老朽化していたり、汚れがひどいといった場合には、その物件を是非買いたいとは決して思わないでしょう。自力での清掃に限界を感じたら、是非プロの手を借りるということも検討してみてください。
さらに、子供さんがいらっしゃる物件等であれば、おもちゃが散らかっていたり子供が汚してしまった箇所などもできるだけ整頓・修復しておきます。
”清掃しようがない”、”整理整頓の仕方がわからない”、そんな方であれば、清掃とは別に「ハウスキーピング」のプロなどを頼るというのも一つの手です。
マンションや一軒家の建物付きの売出し物件の場合であれば、目標は「モデルハウス」です。
可能な限り”モノが無い状態”、”生活感が漂わない状態”に近づけられるよう努力してください。
自分たちが「これぐらい大丈夫だよね。」と思っているような「小物」や「置物」などでさえ、その家の印象を悪い方向へ持って行ってしまったり、内覧者の感性に合わず不用意にネガティブなイメージを醸成させてしまうリスクがあります。
もう一度言います。内覧を受ける際の理想は、「モデルハウス」です。
わざわざモデルハウス”風”の家具や小物を用意するなどということはもちろん必要ありませんが、”可能な限り美しく(特に水回り)”を心掛けて、クリーンネスを徹底的に行っておくようにしましょう。
内覧時の対応
もしも買手候補者の方が内覧を希望された際には、快く受け入れるようにしましょう。
内覧者に気持ちよく物件を見てもらい、物件そのものの評価以外の部分で購買意欲を低下させてしまう様なことがないよう心掛けてもてなします。
買主候補者がその物件に対して明るい未来を想像できるような空間が演出できれば最高です。
収益物件を除いて、その物件にこれから住むかもしれない買手候補者というのは、これから先、そこで暮らす自分をイメージしながら物件を精査しています。
既にご紹介したように、清掃・整理整頓を徹底的に行っておくという事は言うまでもありませんが、内覧時の簡易スリッパを用意してあげたり、いざと言う時のために茶菓子を準備しておく、愛想よく応対をし質問には丁寧に回答する、そんな基本的なことを積み重ねていく事で、内覧者には気持ちよく帰ってもらう事が可能となるでしょう。
物件の設備等についてもさることながら、周辺環境でおすすめのポイントやそこに住んでいる人たちの人となりの良さといった、地域全体を含む住み心地の良さを感じてもらう事ができれば理想的と言えるでしょう。
内覧によって、その物件の条件等について何か買手候補者の理想との乖離が生まれてしまうといった事は、仕方がありません。それもある意味であなたがどうこうできる類の問題ではありません。
しかし、内覧時の案内の仕方や不備等によって内覧者の心象を悪くしてしまうようなことは絶対に避けるべきです。
あくまでも内覧者がそこで暮らす未来に希望が持てるような体験を提供してあげられるよう、最大限演出してあげてください。
「かし保険」への加入
住宅を売買する際、引渡し後になって、その物件に何かしらの欠陥等(不動産の世界ではこれを「瑕疵(かし)」と言う)が判明した場合には、それをどのように扱うのかという事が大きな問題となることが少なくありません。
この瑕疵について、売主側が負うべき責任のことを「瑕疵担保責任」と言いますが、物件の引き渡し後何年もの間にわたって次々とあれやこれやと指摘がなされるようでは、売主側も対応しきれなくなってくるでしょう。
そこで、売主側から見て、自分たちも把握できていなかったような欠陥部分について、どのような形で責任を追及されるか判らいあという事態を生んでしまう事を避けるため、通常、不動産売買の契約においてはこの瑕疵担保責任の範囲を事細かく設定する場合が多いです。
さらに、こうした瑕疵担保責任の”範囲”というのは、売手と買手の当事者間において自由に設定することが可能であるため、中古物件を個人間で売買する際は、あまりに物件が古い場合などであれば「引き渡し後は、売主は一切の瑕疵担保責任を負わないものとする。」といった形で、その責任の範囲を限定させてしまっておくという事も広く行われています。
ただし、買手側の心理としては、やはり当然のことながら「購入後に次々と欠陥が発覚するようなことがあると怖いな。」という思いは拭い去れないでしょう。
そこで、『既存住宅売買かし保険』の登場です。
この保険に加入するためには、あらかじめ専門家による対象不動産の現場検査を受け、問題が無い事を認めてもらう必要があります。(もしも瑕疵(欠陥)が発覚した場合には、きちんと修復・改善されない限り保険には加入することができません。)
つまり、裏を返せば、この保険に加入できているという事は、その物件には現場検査の結果、問題が無かったということを示せるということになるのです。
さらに、それでももし欠陥が発覚したという場合には、その修復費用について加入している保険業者から支払いを受ける事が可能になりますので、二重で安心感を得る事ができると言うことができます。
こうして買手側にとっては非常に大きな買い物となる住宅に対する不安感を取り除き、安心感をもたらすことで、少しでも多くの人に買手候補者となってもらえるように準備しておくという事も、最終的には買手側の競争を生み出すことや、物件そのものの魅力を高める事に繋がりますので、売却価格を少しでも高くしたいという売手側の目的に照らしても非常に大切な事と言えるかと思います。(売手側においてこうした対応を行っていない場合には、逆に買主側から「ホームインスペクション」を要求されることもあり得るでしょう。)
「既存住宅売買かし保険」について詳しくは、↓コチラ↓
まとめ
さて、今回は「不動産を1円でも高く売る!」ということで、そのためにできることを解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
結局のところ、売却価格を少しでも高くしようと思った時、その心構えとして最も大切な事はと言えば、
自分でできる事は手を抜かない
ということに尽きるのではないかと思います。
「仕事が忙しくてそれどころじゃない。」、「そんな難しいこと、私には解らない。」、「面倒だから自分では何もしたくない。」などというように、様々な口実によって楽をしようとすることは簡単ですし、もちろんこうした”自助努力”というのは、義務でも何でもありません。
しかしもし、あなたの中に「1円でも高く。」という想いがあるのであれば、今回ご紹介したようなことを実践し、是非少しでも高い売却代金を勝ち取っていただきたいと思います。
今回ご紹介したのは、素人には少しハードルが高いと感じることはあったとしても、いろいろと調べたり、プロの手を借りたりすることで、「まったく歯が立たないという程でもない。」という内容のものばかりです。
自分でできる事をせずに諦めてしまえば、その時点で売却価格は限界に達したと思いましょう。
高い壁が現れた時でも、思わぬ解決策で売却価格が跳ね上がり、「諦めないで良かったー。」そう思える瞬間が来ることを、この記事をきっかけにして掴んでいただけたとしたら、我々としてはそんなに嬉しい事はありません。
あなたが実践する少しの努力の積み重ねが、将来自分が手にする売却代金を少しずつ増やしているのだということを忘れずに、手を抜くことなく、時にはパートナーである不動産業者さんの力なども借りながら、地道に取り組んでいって頂けたらと思います。
それでは。