売却

【不動産売却の手順】売ろうと決めてから売却代金を手にするまでの流れ

【不動産売却の手順】売ろうと決めてから売却代金を手にするまでの流れ

ある不動産を誰かに売却し、その売却代金を受け取って取引を適切に完了させるためには、どんな手続きが必要になってくるのでしょうか。

また、それらの手続きをできる限りスムーズに進めていくためには、どのような「手順」を踏んでいく必要があるのでしょうか。

今回は、不動産の売却に際して必要となる手続きの手順についてその詳細を解説するとともに、最も気を配っておかなければならない部分とは一体どこなのかというポイントについてもお伝えしていきたいと思います。

これから実際に売却の手続きに入っていこうと考えている人も、とりあえず手続きの流れだけでも調べておこうという人も、不動産業者側の立場としての意見も交えながら本音ベースでお話していきたいと思います。

また、不動産取引に関して「自分は”初心者”で、とにかく不安でいっぱい。」という人は、 No21  No27 で、今回ご紹介する様な実務的な流れに入る”前に”抑えておきたいポイントなどもまとめてありますので、そちらも是非併せて参考にしてみてください。

少し長い記事にはなりますが、各パートにそれぞれ非常に重要なエッセンスが散りばめられていますので、休憩もはさみながら是非最後までご覧いただければ幸いです。

それではさっそく、確認していきましょう。

不動産売却に必要な手続きとその流れ

まずは下の図をご覧ください。

(図解) 不動産売却を決心してから売却代金を手にするまでの流れ

これが、あなたが不動産を売却したいと考え始めた所から、最終的にその売却代金を手にするまでに必要となる手続きの大まかな流れになります。

詳細についてはこれからこの記事で細かく解説していくわけなんですが、ここで先に結論を申し上げておきたいと思います。

不動産売却の手順について考える上で、あなたが最も気を配っておかなければならないプロセス、最も力を注ぐべきポイントは、

「不動産会社の選定」です。

とにかく、信頼できる不動産会社を見つけ出し、パートナーとして契約を結ぶということに集中してください。

その理由や方法については後ほど詳しく解説していきますが、まずはこれが何よりも大切なことであるということを頭に叩き込んでおいて欲しいと思います。

あなたにとって最良の不動産会社・パートナーを見極められるかで、全てが決まります。

不動産を売却するにあたっての手順・プロセスについては、細かな事を言えば、あなた自身の持つ「不動産売買に関する知見や経験値」、「不動産に精通した人との繋がりの有無」などによって、大きな違いが生まれてくるというのが実態です。

そこで、ここでは前提として、「不動産売買の経験がない(もしくはあっても1度程度で)、右も左も分からない不動産取引の初心者の方」が不動産売却を検討する場合に、どんなことに気をつけて売却の手順を踏んでいけば良いのかという観点から解説をしていければと思います。

不動産業界に信頼できる知り合いがいる場合であれば、そもそも当サイトをご覧いただく可能性も低いでしょうし、何か気になる点が出てくればその知り合いの方に相談されるかと思います。

一方で、今この記事を読んでくださっているあなたの場合は、そうではないという事ではないでしょうか。

安心してください。

当サイトでは、全体を通して、主に不動産取引の初心者の方へ向けて、不動産売却に特化してその関連情報をお届けしています。(一部「相続」に絡んだ不動産売却に関する話題についても詳しく解説しています。)

当サイトについて、「本当に信用して大丈夫なの?」とか、「なんだか不安。」と感じられた方については、残念ですが他サイトを参考にしていただくより他ありませんが、運営者側としては、少しでも読者様のお役に立てるように、専門的な内容を含むお役立ち情報をお届けすべく、日夜、誠心誠意、更新しているつもりですので、何か参考にしていただける内容を見つけていただければ幸いです。

(リンク) 運営者プロフィール

少し話が逸れてしまいましたが、それでは上記の図でお示しした売却手順の内容について、それぞれのステップごとに細かく解説していくことにしましょう。

【査定】対象不動産の正確な価値を知る

早速ですが、不動産の売却手順を確認していく前に、1つ、最も重要なステップというものが存在します。

あなたの不動産売却を成功させられるか否かを左右する”最大のポイント”であり、絶対に抑えておかなければならない手順、それが、

事前の「査定」です。

冒頭で、不動産売却の手順の中で最も大切なポイントは「不動産会社の選定」であるというお話をいたしました。

ですが、この「査定」に関しては、売却の手続き・手順に入る”前”の段階において最も重要となる手順であると考えておいていただきたいのです。

そして、それと同時に、後々においてはもちろん良い不動産会社を選定するという意味においても非常に大切な要素となってきます。

では、なぜ事前の価格査定がそれほどまでに重要なことなのでしょうか。

まず、あなたは今自分が売ろうとしている不動産がいったいどのくらいの価値があるものなのか、しっかりと把握・認識できているでしょうか?

インターネットなどを頼り、公表されている地価や近隣の相場などの不動産情報を知ることができたとしても、果たしてそれはあなたが売ろうとしている不動産にそのまま当てはめて考えて良いものなのでしょうか。あなたが導き出したその価値というのは、本当に正確なものと言えるでしょうか?

答えは、NOです。

ここは敢えてはっきりと断言しておきますが、不動産取引の初心者であるあなたが、正確な査定額を導き出すということは、不可能です。

不動産の価値というものは非常に多岐にわたる様々な要素によって構成されています。そして、それらに関する幅広い知見やこれまでの豊富な経験値といったものがあって初めてそれを見極めることが可能となるものです。にもかかわらず、冒頭の”前提”でも確認しました様に、不動産取引に関してそういった知識や経験を持ち併せていない人間が、適正な価値を判断するということは、現実的にはやはり難しいと言わざるを得ないのです。

それぐらい、不動産を査定する、価値を算定するという作業は複雑で、専門的な知識や情報、経験値等を要するものなのです。

では、もしこの「不動産の価値」=「あなたが売却したい不動産の現在の”適正価格”」というものを正確に把握できていない状態で売却手続きを進めていったとすると、その先にどのような事態が想定されるのでしょう。

実際に不動産の売却手続きに進んでいくとなると、まずあなたは不動産会社を選定し契約することになります。(詳しくは後述)

その時、適正価格の相場観というものを持ち併せていないあなたは、その不動産会社から提示される売出価格の適正性を的確に判断できるでしょうか。あなたは、「へえ。まあそんなものか。」と納得するしかないでしょう。そして、なんとなく売出価格が低いと感じたとしても、よくよく頑張って、「もう少し高く売れませんかね。」と、何の根拠もないままに多少値上げ交渉を切り出してみるというのが関の山でしょう。

さらには、そうやって「売出価格」が決まった所で、次に買い手を探す段階においても、値引き交渉などが発生した場合、これまた適正な価格水準や考慮すべき事項が判らない状態にあるわけですので、あなたが適切な判断を下すのが非常に難しいということは容易に想像がつくのではないかと思います。

やはり、事前にある程度正確な査定額というものを自分で把握しておかなければ、後々になって後悔が残る様な判断をしてしまいかねないというのが実情なのです。

不動産取引というのは、改めて言うまでもなく非常に大きな金額が動くものです。

そして、そこでの値付けや値引き・条件交渉というものは、これもまた非常に大きな金額の変動が伴うことになりますので、自分の中でのしっかりとした”軸”を持っておくという意味においても、事前の査定というのは非常に大切なプロセスなのです。

あなたがある程度確度の高い査定額を知っていれば、買い手側の強硬な値引き交渉もビシッと断ることができますし、自分の中で一定の”価格ライン”というものを設定しておけることで、相手の出方を伺う基準とすることも可能になるわけです。(例えば、あなたが本来の適正価格よりも高めの売却希望価格を提示しているにも関わらず積極的に購入意向を示してくる買い手が出てきた場合などは、相当その物件を欲しがっていると判断できる、といったことなどです。)

では一体どうすれば、その不動産の適正価値=正確な査定価格というものを知ることができるのでしょうか。

方法はいくつか考えられますが、大きく3つにまとめられます。

  1. 『一括査定サービス』を利用する
  2. 『専門家』に直接依頼する
  3. 『自力』で情報収集する

それぞれ見ていきましょう。

「一括査定サービス」を利用する

まず1つ目が、インターネット上の「一括査定サービス」を利用するというやり方です。

これは最近最も主流になりつつある方法ですが、最も手っ取り早く、そして時間的にもお財布的にも無駄なコストをかけずして、しかも確実に適正な相場価格を知ることができる方法として非常に多くの人が利用するようになってきています。

この「一括査定サービス」については、 No65  で詳細に解説していますが、大手不動産会社に在籍する”不動産のプロ”が、その時々の情勢を考慮しつつも、あなたの不動産を的確に査定してくれるサービスとなっていますので、一般的にも非常に安心感を生んでいるのではないかと思います。もちろん利用料や手数料がかかることもなく、利用は完全無料となっています。

「タダほど高いものはない。」

ここでそう思われた方、その気持ち、わかります。

既に不動産業界について熟知している人間こそ、そこに疑念を抱くというようなことはありませんが、何もわからない初心者の方が、「サービスは利用してもらっても、無料ですので大丈夫です。」と言われると、「何か裏があるんじゃないか。」と疑いたくもなってしまいますよね。

そこで、こうしたサービスが無料で提供されている”カラクリ”を少しだけお話ししたいと思います。

「不動産会社」というのは、あなたも街中や駅前などで店頭のガラス面などに物件情報をこれでもかと張り出しているのを見かけて馴染みがあるかとは思いますが、全国にそれこそ”無数”に存在します。(実際には、2020年時点で約125,000社あります。)

そんな不動産屋さんの生命線とは一体何でしょう。

それはズバリ「情報」です。

どんな所にどんな売り物件があり、どこにどんな買い手候補者がいるのかという情報を逐一更新していくことこそが彼らの生命線となっています。

不動産業者というのは、平たく言ってしまえば”マッチング”をしてくれる仲介屋さんですので、そうした情報をなるべく多くストックしておくことで、新たな情報が入った時にビジネスに繋げられるように日々活動しているわけです。

不動産屋さんの収益源というのは、大きく3つに分類されます。

  1. 不動産を開発・販売することによって得られる利益
  2. 不動産の賃借や売買の仲介による仲介手数料(専門的には「媒介」と言います。)
  3. 自社物件の賃料収入

しかし、1や2に関しては、そう頻繁にこうしたビジネスが発生するわけではありませんし、不動産屋さん同士の競争もありますので、手をこまねいて待っているというわけにもいきません。

したがって、先程ご紹介しましたように、日々の活動としては「情報収集」に力を入れていくという動きになってくるのです。

つまり、不動産業者側にとっては、あなたやあなたと同じように不動産を売却したいと考えている人がインターネットを介して査定を依頼し、それを無料で請け負うことで、どこにどういった売り物件が存在するのかという情報を得ることができるというメリットが出てくるというわけです。

インターネットを介した不動産関連の情報網というのは、業界内においても日を追うごとに膨張し続けているのですが、これも不動産業界の人たちがこうしたサービスによって幅広く情報を吸い上げている成果とも言えるのです。

一方でこうしたサービスは、裏を返せば、正確な査定価格を知りたいけれど査定に多くの時間やお金を費やすのは嫌だという売り手側、つまりあなたの様な人にとっては非常にありがたいサービスであり、是非その恩恵に預かりたいところということになるわけです。

いかがでしょうか。不動産の一括査定をなぜ無料で受けられるのかというカラクリをイメージすることができましたでしょうか。

それでも他の方法を検討したいという方は、続いて「専門家に直接依頼する」という方法についてもご紹介しておきたいと思います。

専門家に直接依頼する

続いて、自ら専門家を探し出し、直接依頼をかけていくという査定の方法についてご紹介したいと思います。一昔前であれば、この方法が最も主流でした。

不動産を売却したいと考えた時、その対象物件がいくらぐらいの価値があるのか知りたい場合には、新聞や専門誌といった身近にある情報を集めてきて、直感で良さそうな所に相談を持ち掛けるといったことぐらいしか採り得る手段は考えられませんでした。

なにせ携帯電話やスマートフォン、パソコンのインターネットによる情報網などというものは、不動産取引の歴史からしてみればほんの最近の話ですからね。

ただし、これは次にご紹介する「自力で情報収集する」という方法にも共通することではありますが、当然ながら本人に非常に大きな労力と負担が必要となるやり方になります。

方法としては、まず専門家として考えられる人たち、不動産鑑定士や司法書士、不動産会社の査定員といった所へ自ら連絡を取り、アポイントや日程調整をしていく必要があります。

そして、そうして自ら個別に当たって見つけ出した先々においては、あなたの物件に関する情報というものを一括で管理してくれているというようなことももちろんありませんので、あなたはその都度、一から説明をしていく必要があるということになり、同じことを何度も何度も繰り返し説明するという手間が発生します。これは想像以上に根気とパワーのいる作業です。

そして、この方法をとる場合でも、結局はまずインターネットに頼って専門家探しを行うという人がほとんどになってくるかと思いますが、そうなってくると、もはややっていることは一括査定を利用しているのと結果的にほとんど何も変わりがありません。

一括査定を利用して、初めに一度必要事項を入力した上で、効率よくいくつもの査定結果や不動産関連情報を得られるように動くのか、それを細かく自分で動いてひとつずつ探していくのかの違いだけということになってくるわけです。

それでも中には、自分の目でインターネット上にある専門家のウェブサイトなどをつぶさに見ていくことで、自分自身のフィーリングを大事にしつつ選別していく方が安心感があるという様な方もいらっしゃるかもしれません。

もちろん、そういった方法も一つの手と言えるでしょう。

しかし、「正確な査定金額を知る」という当初の目的に照らせば、効率面を考えると、やはり圧倒的に非効率な方法であると言わざるを得ないでしょう。

どうしても相談したい専門家が個別にいるという場合などを覗いては、一括査定を利用することをお勧めしたいと思います。(もちろんそういった特定の人がいるという場合でも、同時並行で一括査定を利用するということは可能ですし、あなたがなるべく多くの有益な情報を得られるようにしておくという意味でもそうすべきかとは思います。)

自力で情報収集する

最後に考えられるのは、自ら新聞やネット、専門誌などをもとに不動産価格そのものを調べ上げることで適正価値を導き出すというやり方です。

これもインターネットが普及した昨今ならではと言える方法であろうかと思いますが、唯一この方法だけはおすすめはできません。

その理由は、あなたが不動産に関しては「ずぶの素人」だからです。

冒頭で確認しましたように、ここでは不動産取引に関してほとんど経験のない初心者の方を対象として話を進めていますので、そうした方を前提とした場合、自らの情報収集のみで対象物件の不動産価値、適正な査定価格を導き出すということはやはり不可能なことなのです。

繰り返しお伝えしているように、不動産の価値というものは様々な要素によって構成されています。

その構成要素の中から必要な項目を的確に抽出し、現在価値に置き直しをした上で、さらには不動産市況や最近の近隣取引情勢なども鑑みて、適正価値を導き出すという一連の流れを行うことが、あなたに可能ですか?

なぜあなたには自力で価値算定を行うことが不可能なのかということの理由として、非常に分かりやすいポイントを一つお示ししましょう。

不動産業界には、不動産業者として会員となった者だけが閲覧することのできるある機構(国土交通大臣から指定された機関)が用意しているネットワークシステムというものが存在します。

ここには、各不動産業者が活動する地域における不動産情報が一覧で記載されており、彼らはそこでリアルタイムで情報交換を行っているのです。

このこと1つを取ってみても、全くの素人が自力で収集した情報だけによって不動産の価値を算定するなどということは非常に困難であることがご理解いただけるのではないかと思います。

さらに解り易いものとしては、不動産の価値を算定する専門資格として「不動産鑑定士」という難関資格が存在しているということからも、その難易度が計り知れるかと思います。

したがって、これを読んでいただいているあなたは、今この瞬間から「なんとか自力で査定額を導き出してやろう。」などという考えは捨ててください。(「そんな考えは毛頭ない。」という方はスルーしてくださって結構です。)

今のご時世、どこにいようともスマホやパソコンといった手元の端末がインターネットに繋がり、世の中のほとんどのことに関する情報がリアルタイムで手に入ります。一部ではこうした”情報過多の環境がもたらす弊害”といったことも指摘されていますが、一度こうした環境に身を置いてしまえば、その便利さからもう後戻りはできません。

このことは、不動産の価格査定においても例外ではないのです。

思いつく限りにちょっと検索しただけでも、不動産に関する様々な情報が手に入るでしょう。当サイトもその一つかと思います。

しかし、本当に大切なことは、そうして得た情報をどう生かしていくことができるか、自分の目的を達成するためにどう活用していくのかということなのです。

料理をする際、いくら良い食材が手に入ったとしてもそれをおいしく調理する方法が解っていなければ、素材の良さを活かしきることはできませんよね。

そんな時、料理であれば頼りがいのある経験豊かなプロの料理人・シェフがいれば美味しい料理が完成することを期待できますし、不動産に関して言えば、やはり豊富な知識や経験値を有する専門家の方がうまく情報を活かすことができ、適正な価値というものを導き出せるということになるわけです。

もちろん自分で調べ上げることである程度の価格イメージを持つ、というのも一つの手段としては考えられるでしょう。(「自分で調べてみる」という方法について詳しくは、 No130 でも解説していますので、どうしてもということであれば参考までにご覧いただければと思います。)

ただし、最後にもう一度申し上げておきますが、自力で最終的な価値について結論を出すということは絶対にしないようにしてください。

表面的な情報や浅い知識をベースに、大きな金額が動くことになる不動産の価値を見極めようとしてしまうことで、結局は自分自身をミスリードしてしまうことになり、あなた自身の首をしめてしまうことになるだけです。

自分で調べてみるにしても、参考程度だと割り切って考えておかなければなりません。

【選定:不動産会社】あなたの分身(=代理人)となる不動産会社を選定する

さて、ここまでのお話で「あなたが売却したい不動産の価値を事前に的確に把握しておく」ということの重要性とその方法についてはご理解いただけたかと思います。

それではいよいよ満を持して、不動産売却の手順・手続きにおける”山場”とも言える、最も重要なプロセス「不動産会社の選定」に入っていきたいと思います。

が、今回の記事では「全体の流れ」をご紹介することに主眼を置いていますので、この最も大切なプロセスである不動産会社の選定のにつきましては、それだけで非常にボリュームが出てしまうため、この記事が必要以上に物凄い長さになってしまいますので、 No35 にその詳細説明は譲りたいと思います。是非そちらの記事もご覧になっていただければと思います。

したがって、今回はその中でも重要なエッセンスに絞ってご紹介していければと思います。

気を取り直しまして、世の中に数多(あまた)ある不動産会社の中から、あなたの不動産売却を満足のいく結果へと導いてくれるパートナーを見極めるということについて考えていくことにしましょう。

ここで、改めてあなたに質問です。

あなたが不動産を売却するにあたって、「不動産会社=パートナー」に期待する役割とは一体何でしょう?

それは、不動産取引の素人であるあなたになり代わり、その道のプロとしてあなたの「代理人」を務め、今回の不動産売却をあなたが後悔することの無い様うまくまとめてくれる、という役割ですね。

これは改めて言うまでもありません。

「うまくまとめる」というのは具体的には、あなたが満足のいく様な価格での売却を実現してくれて、なるべくあなたの手を煩わせることなくスムーズに各種の手続きを進めてくれ、取引の完了まであなたにストレスを感じさせることなくやり取りのできる相手、といったことになってくるでしょう。つまり、

  1. 価格交渉力
  2. 処理能力(手続きのスムーズさ)
  3. ホスピタリティ

というポイントにまとめられるかと思います。

主にこの3つのポイントを重視して不動産会社を選定することこそが、あなたが今回の不動産売却で失敗しないために最も大切なことと言えるのです。

詳細な解説は、 No35 にて。

ただ、これらを見極めるための”土台”については、前述の「一括査定」のサービスを利用している肩であればすぐに整ってしまいます。

まずは、各サービスに対応した専門業者の方からあなたに連絡があるかと思いますので、それに各々対応する中で、これらの3項目について、ある意味であなたが”査定”を行っていけば良いわけです。

言い換えれば、あなたが不動産業者の査定を行うということは、あなたのパートナー候補の”オーディション”を行うと言うこともできるでしょう。

そういう意味では、なるべく多めに査定を依頼しておくようにしましょう。

すぐに理想のパートナーに巡り会えたという方はそれで問題ありませんが、なにぶん初めての経験という様な人であれば特に、横比較というのも自分の判断基準を養う上で有効なやり方かと思いますので、いくつかの査定サービスに依頼を掛けてみるようにしてください。

いくつかの不動産会社に応対する中で、不動産会社とのやり取りがどういうものか、満足のいく売却の実現へ向けて上記3点を判断するには、各不動産業者の会話の端々やその態度などでどう見極めるべきかといった部分が掴めるようになってきます。

 No65 

「そんな偉そうな態度はとれない。」

「私はそんなことを見極める力はない。」

という、”パートナー選び”に自信がないという方。

ここはひとつ、心を鬼にして、自信をもって選び抜くということを決心してしまいましょう。

見極める基準や方法については、先程からご紹介している No35 の記事の中でも詳しく解説していますので是非参考にしていただければと思いますが、思い出してみてください。今回私がこの手続きを解説する中で何度も口酸っぱく申し上げている様に、ここが”山場”、もっとも重要なターニングポイントとなる部分です。

ここを踏ん張って乗り越えることさえできれば、あとは安心して任せられるパートナーとしっかりと手続きを進めていくということが可能になるのです。

もしここであなたが遠慮してしまって、本位でないパートナーや大切な部分において大きく妥協をして選定したパートナーなどと契約を結ぶということになってしまったとしたら、手続きが進むにつれて、あの時もっとしっかりと自分の意見を主張したり、妥協せずに不動産業者を選定していけば良かったとなってしまうことは目に見えています。

さらに言えば、この重要である選定の段階で遠慮が先行してしまう様ですと、今後の交渉においても非常に不安要素が大きくなってきてしまいます。

その不安というのは、不動産業者に騙されてしまうといった最悪の事態に陥ってしまう可能性があるということです。

あなたが遠慮しがちな性格やあまりはっきりと自分の意見を主張できない人間だと見抜いた悪質な不動産業者がもしもあなたにアプローチしてくるようなことがあれば、彼らは巧みな話術であなたのことを丸め込み、自分たちの利益を優先するような形で取引をまとめにかかってくるかもしれません。

そんなことにならないためにも、まずはなにより「選定」の段階でシビアな目を持って見極めていくということが大切になってくるのです。

「なかなか自分の意見を主張するのは苦手で。」、「相手に遠慮してしまって自分の考えを押し通し切れないことが多い。」そんな方にとっては、本当に慣れないこと、勇気のいることかもしれませんが、ここで改めてそうした「シビアさ」が理想の売却のためには必要になるということを胸に刻んでおいて欲しいと思います。

大丈夫です。素人なりの言葉で何も問題はありません。「ちょっと違うかな。」と感じたら、少し勇気を振り絞って、自分の意見を伝えてみてください。そして、”伝え切って”ください。

あなたなら、できます。

応援しています。 No35 も参考にしながら、やり遂げてください。

【契約:不動産会社】あなたの代理人となる不動産会社と契約する

不動産売却に係る手順において最大の関門である「不動産会社・パートナーの選定」をやり切ったあなたが次に取り掛かること、それが「不動産会社との契約」になります。

ここで今回の売却に係るプロセスの最大の山場を乗り越えたあなたに朗報です。

先に申し上げてしまうと、ここから先は、ほぼ丸投げ状態で大丈夫です。

もちろんこの後どういった手続きがポイントになるかというお話はしていきますが、信頼できそうなパートナー(の不動産会社)を見つけたからには、もうその相手が説明してくれる内容をもとに手順を進めていけば良いだけです。

不動産会社との契約の内容や、売却の条件等について解り難い部分などがあればその都度納得がいくまで質問していけば良いですし、そもそも専門的な部分やプロの経験に頼らざるを得ない部分(理屈で理解できるような次元でない項目)については、その不動産会社を信頼して任せてしまいましょう。

「そんな投げやりで本当に大丈夫なの!?」

そう感じる方もいるかもしれませんが、大丈夫です。

と言うよりも、要は、突き詰めていくと、そもそも不動産の取引に関する種々の細かな条件や手続きについてあなたが全て知っている必要はないのです。というより、これもやはり不可能な事です。

ひとつ間違いなく言えることは、今回の不動産売却において、あなたにとって最も大切なことは、

  1. 納得のいく金額で売却ができる
  2. ちゃんと売却代金を受け取る
  3. 権利関係や税務処理に至るまで適正に処理を完了する

この3つでしょう。

つまり、「可能な限り高く売れ、売却代金をしっかりと受け取って、後々問題が起きないように適正に各種の手続きを済ませる。」ことさえ実現できれば、それ以外の部分は、極論をしてしまえば「どうだって良い。」(少し乱暴な言い方ではありますが。)のです。

こういった所に、この記事でこれまで散々言い続けて来た、「不動産会社を見極めることの重要性」が響いてくるわけです。

信頼できる不動産会社をパートナーに選ぶことが出来さえすれば、それだけあなたにとっての負荷が減る=抑える所をちゃんと抑えたスムーズな取引を実現できるということに繋がってくるわけです。

ということで、不動産という特殊な世界で、半ば投げやり状態で大丈夫かと不安に感じられる部分もあろうかとは思いますが、「不動産会社の選定」のプロセスさえしっかりとやり切っておくことができていれば、何も心配する必要はありません。

パートナーの不動産会社が説明してくれる通りに、彼らと仲介(=媒介)の契約を交わしましょう。

ただ、そうは言いつつも、不動産会社との契約について最低限知っておいた方が良いポイントというのをご紹介しておきたいと思います。

それは、”契約形態の違い”についてです。

実は、不動産会社との契約というのは、いくつかの形に分類されます。それぞれの契約形態について、あらかじめ知っておくことで不動産会社から説明を受けた際などに判断に迷ってしまうと言ったことがないようにしておきましょう。

不動産会社との契約形態は、

  • 一般媒介契約
  • 非専属型専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

大きくこの3つに分類できると考えておけば大丈夫です。

それぞれの名称をわざわざ覚えておく必要はありませんが、各契約形態の違いとしては、

「メインの不動産業者以外にも仲介を依頼できるのが”一般媒介契約”」

「他の不動産業者には依頼できず、1社だけに頼むことになり、自分が見つけて来た買い手とも契約できるのが”非専属型専任媒介契約”」

「他の不動産業者に依頼することもできないし、自分で見つけて来た買い手との契約もできないのが”専属専任媒介契約”」

という風に捉えておいていただければと思います。

表:契約形態の違い

では、なぜこうした差が設けられているのでしょうか。

簡単に言ってしまえば、「依頼主であるあなた(売却主)に選択肢を与えるため」ということになろうかと思いますが、ここで大切なことは、あなたが「不動産会社側の気持ちになって考えておく必要がある」ということです。

つまり、不動産業者にとって、あなたが他の不動産業者と契約する可能性があったり(一般媒介契約)、自分で見つけて来た買い手との契約の可能性が残っていたりすれば(非専属型専任媒介契約)、やはり「契約を成立させてやるぞ!」という意気込みも薄れてしまうでしょう。

これは残念ながら仕方のないことです。

彼ら不動産業者側も、決して”善意”や”ボランティア”で仲介業務を行っているわけではありません。あくまで営利目的で、彼らもお客様に尽くしつつも利益を生もうと必死なわけです。

もちろん、同じ利益を必死に追求する会社間でも当然、前述の様に、どれだけの能力や経験値を有しているのか、ホスピタリティをどれだけ重視しているかといった差はありますので、そこを見極めて契約をするということが今回最もお伝えしておきたいポイントであるということに変わりはありません。(詳しくは、前章でご説明した通りです。)

したがって、理想形を挙げるのであれば、信頼できそうだという不動産会社を選び抜いた上で、「専属専任媒介契約」を結ぶというのが良いのではないかと思います。

もちろん、契約形態の選択は自由ですし、様々な考え方があるかと思いますので、他の不動産業者にも依頼しておきたいとか、どうしても自分で見つけてしまった場合の可能性を残しておきたいという方については、他の契約形態についても検討してみられると良いでしょう。

【販売活動】その不動産を買ってくれる相手を見つける

これも前述の様に、信頼できそうな不動産会社をしっかりと見つけ出すことが出来てさえいれば、あとは基本的には「全てお任せ」で大丈夫なのですが、ここでは、不動産会社との契約後に進んでいくこととなるステップとして、確認の意味も込めて簡単にご紹介していきたいと思います。

まずは、何と言っても対象不動産に興味を示してくれる買い手を探し出すということが必要になってきます。

そして、そのためにあなたのパートナーである不動産会社は「広告」を打ちます。

「こんな物件が売り出されていますので、是非購入を検討してみてくださいね。」と、自分たちのネットワークや営業網を活用してあなたの物件を宣伝してくれるわけですね。

ここで、この記事でも一度触れました、不動産業者間で共有されるネットワークシステムも活用されることになります。他の不動産業者(この場合、買い手候補者を抱えている不動産屋さん)は、この独自のネットワークも駆使しながら自分たちのビジネスに結びつくような物件を探しているわけですので、ここに登録することでもあなたの物件を宣伝することに繋がるわけです。

あなたの不動産が魅力的に見えるような広告等の販売戦略を駆使し、随時売却の条件等も見直しながら買い手候補者を探し出し、売却の交渉を進めていく(この販売活動の戦略立案や各種活動の代理等をあなたのパートナーである不動産会社がしてくれます。)という流れになっていきます。

【条件交渉】買い手候補者の希望買付価格との擦り合わせ

上記の様な広告宣伝活動により、晴れて買い手候補者が出てきたら、次は条件交渉に入ります。

当然ながら、買い手としては少しでも安く物件を手に入れたいと考えていますので、直接的な価格面もさることながら、他の条件などでも譲歩してくれるよう要求してくる場合が多くなるでしょう。

しかし、ここはもうあなた次第と言うしかありません。

当初提示した売却の条件を1ミリたりとも譲らないということであれば、そのように主張すれば良いですし、なるべく早く売却してしまいたいとか、不動産市況が大きく変動し始めて来たといったことが起こってくれば、パートナーである不動産会社とも相談の上、条件を変更していけば良いかと思います。

いわば不動産も”生もの”です。リーマンショックの様な歴史的転換点でないにせよ、不動産市況そのものは外的要因によって刻々と変化していますし、モメンタム(勢いやはずみ)やトレンド(市況の流れ)といった要素も無視はできません。

最終的な着地点を見据えながらも、自分の軸をなるべくブラさないように判断していくことは容易ではありませんが、自分の中での優先順位をその都度しっかりと確認して判断していくようにしましょう。

また、「物件紹介・現地案内」が行われるのもこのタイミングとなります。

これは、買い手候補者に対して、あなたの物件が相手のお眼鏡にかなうものなのか、実物を見て判断してもらうという、いわば「内見」です。基本的には業者間(売り手と買い手それぞれに付いている不動産業者)でやり取りをしてもらうことになりますので、あなた自身が逐一説明する必要があるという様な事はありません。

参考: No39 

【契約:購入者】購入することになった相手と契約を結ぶ

見つかった買い手候補者との条件交渉が無事まとまれば、あとはその買い手との契約です。

ここはもはやあなたが主体的に動く場面でもありませんので、あなたのパートナーである不動産業者が用意してくれた各種手続き関係の書類にサインをすればOKです。

これも基本的には、前の「条件交渉」の段階で既に詳細について取り決めてある内容を書面に落とし込んでいくという位置づけの手続きになりますので、大きな問題が発生するといったことは想定しにくいかと思います。

ただ、そうは言ってもここでの「契約」、ここで最終的にかわされる「契約書」が、あなたと今回の売買にかかわる関係者との”約束事”を明文化したものとなりますので、可能な限り隅から隅まで目を通しておくということは面倒がらずに行うようにしてください。改めて不明な点等が出てくれば、また不動産業者へ質問すれば大丈夫です。

【決済】売却代金を受取る

お疲れさまでした。

買い手との契約が完了すれば、あとは売却代金の受け取りを残すのみです。

条件交渉の段階で取り決めた支払方法に基づいて、あなたが本人や銀行から売却代金を受け取ります。

【引渡し】対象不動産が完全に買付者のものになる

最後に、売買契約締結後、約2か月程度までを目途に対象物件の引き渡しを行うことになります。

これは所有権移転登記という申請手続きをとる事になるのですが、こちらが完了した時点で、当該物件が完全に買い手のものとなります。

これもあなたはパートナーの不動産会社の指示通りに滞りのないよう手続きを進めていけば大丈夫です。

以上、これで晴れてあなたの不動産売却に係る一連の手続きが完了ということになります。

お疲れさまでした。

売却手続きに入る前に用意すべきもの

売却の手続きを進める中で、不動産業者を選定することが最も重要であるということを繰り返し強調してきましたが、一方でこうした一連の流れに入っていく前に、これらの手順をよりスムーズにするためにあなたができることというのを簡単にご紹介しておきたいと思います。

ここでは具体的に売却の手順に進む段階までに揃えておいた方がよりスムーズに手続きを進められるであろう「書類」関係をご紹介できればと思います。

ただし、これは特に前もって行っていなくても、後々問題になるとか何か不都合が生じるといったことはありませんので、「そんなの面倒だし、とにかくパートナー選びに集中して、後は彼らの言う通りに動くからいい。」という方は無視していただいても大丈夫です。

<不動産売却の手続きに入る前に用意できる書類その他一覧>

  • 「登記済権利証」もしくは「登記識別情報」
  • 売り主の「本人確認書類」
  • 「身分証明書(顔写真付き)」、「実印」、「印鑑証明書(3か月以内)」、「住民票(3か月以内)」
  • 「固定資産税納税通知書」(固定資産税評価証明書登記変更時の登録免許税を算定するのに使用)
  • 「土地測量図」および「土地境界確認書」(この2つを用意するための測量は3か月ほど時間を要することがあることに注意)

売却完了後の税務処理・確定申告について

実は、不動産は売却して代金を受け取ってしまえば全て完了、一件落着。。。というわけにはいかない場合というのも考えられます。

既にイメージをお持ちかとは思いますが、そうです、「税金」関係ですね。納税のための税務処理についても考えておかなければならない場合があるのです。

不動産を売却した場合における納税は、他の所得と区分して計算した税額を確定申告の手続きによって納めるということになるわけですが、その税額については様々なパターンが想定されますので一概には言えません。

したがって、納税について詳しく知りたいという方は、 No43 で解説していますので、併せてご覧いただければと思います。

ただ、ここでも基本的な考え方を説明しておきますと、

  • 「購入時よりも高く売れた。」
  • 「買い替え時に、売却した不動産の方が高値だった。」

という場合に税金がかかることとなり、

  • 「購入時よりも安くでしか売れなかった。」
  • 「買い替え時に、新たに購入した不動産の方が高かった。」
  • 「3,000万円以下でしか売れなかった。(マイホームの場合)」

といった場合には税金がかからないということになります。

納税の義務が発生しているにも関わらず、確定申告をせずに過ごしていると、後々になって様々なペナルティーが科されることになりますので(もちろん悪質であれば罪になり逮捕されます。)、きちんと確認をし、処理を済ませておくようにしましょう。

まとめ

以上、大変お疲れさまでした。

今回は不動産の売却を決心した時から、実際に不動産を売却し、その売却代金を受け取って、その後適正な税務処理を行うまでの一連の流れを全て確認していただきましたが、いかがでしたでしょうか。

本文中でも触れました通り、ポイントは2つです。

  1. 事前にしっかりとした査定を行っておく事によって、適切にその価値を把握しておく
  2. 不動産会社をしっかりと見極め、信頼のおけるパートナーとなる相手と契約を結ぶ

この2つさえクリアできていれば、あなたがいくら不動産取引の素人だからと言って、後々になって大きな後悔を残すようなことにはなりません。

不動産の世界というのは、一見非常にとっつきにくいですが、本当に大事なポイントさえ見失わなければ円滑に取引を終えることは可能です。

この記事を最後までご覧いただいたあなたには是非納得のいく形で取引を完遂できるように、陰ながら応援しています。

よろしければ当サイトの他の記事も色々と覗いてみていただければと思います。意外と知らなかったお得情報や豆知識が手に入るかもしれません。

それではまた。

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